人材育成という観点も
データセンターへの投資が継続的に行われているのと同様にリスキリング機会の提供や、サイバーセキュリティ分野における政府との連携強化も、これまでの延長線上の取り組みだといっていい。
リスキリングでは日本社会におけるAI活用の底上げを目的に、今後3年間で300万人を対象に実施。スキル習得を望む開発者だけに留まらず、学生やあらゆる規模の企業や団体に所属する人々も対象にし、このなかには非正規雇用者も含まれる。
具体的には、マイクロソフトが提供するリスキリングプログラムや、既存の研修プログラムを引き続き提供。また、高度なAI技術者の育成支援では、開発者およびテクノロジー企業向けの研修プログラムを提供したり、リファレンスアーキテクチャを拡充したり、開発者向け生成AIであるGitHub Copilotを通じた開発者支援を継続的に実施。Microsoft for Startups Founders Hubによるスタートアップ企業へのリソース提供、工業高校などにおける高度なプログラミング教育の支援も継続することで、未来のAI人材の育成に貢献する。
ここでの新たな取り組みは、女性向けの 「Code; Without Barriers (コード ウィズアウト バリアーズ)」 プログラムを日本で初めて導入することだ。同プログラムは、AIスキルを活用した職務への雇用を希望する女性を支援するもので、世界各国で多くの実績を持つ。さらに、国連訓練調査研究所 (UNITAR) と協力して、 AIやサイバーセキュリティなどを学ぶ研修コンテンツを提供することも発表した。
新たな施策が追加されたものの、施策はこれまでのり延長線上といえるものが中心だ。だが、300万人という明確な数字を発表したところには大きな意味があるといえるだろう。
そして、サイバーセキュリティ分野における日本政府との連携強化も、これまでの延長線上での取り組みとなる。
マイクロソフトは、2022年12月に改定された日本政府の国家安全保障戦略に基づき、サイバー攻撃などから、政府、企業、国民生活の保護を強化すべく、サイバーセキュリティ分野において内閣官房との連携を強化すると発表。「マイクロソフトが多数の日本企業や団体を保護するために提供している既存のサービスをもとに、マイクロソフトが持つ専門知識や高度なクラウド、AI セキュリティサービスの強みを活かし、日本政府との連携をさらに強化する」としている。
今後は、情報共有の強化、人材育成、技術的解決策の提供等に重点的に取り組み、サイバーセキュリティ上の脅威に共同で対応するという。
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