4月になった記念、猫撮影で学ぶカメラの基本シリーズの第3弾は”ボケ”の話。
前回(「”猫撮影の基本”第2弾! 広角と望遠の特性を知って使い分けると写真のバリエーションがぐっと広がる」)、猫を広角で撮るときは背景に気をつけようって話をしたけれども、背景をある程度入れることで猫のいる風景を見せたいとか、近くにいる人も一緒に写すことで雰囲気を出したいってことは頻繁にあるよね。でも、たまたま写り込んだにしろ、その人が特定できるような写真は避けねばならないし、場所の特定が容易な写真も避けたい。
そんなときはどうするか。ケースバイケースなのだけど、有力なのは「背景をぼかしちゃえ」。冒頭写真みたいな感じ。広角で背景は広く入ってて神社の雰囲気も伝わるし、写ってる多くの参拝客も大きくボケてるから背景の一部になってる。
もう1枚。住宅街のど真ん中をこっちに歩いてくるハチワレ。背景が大きくボケてるから、住宅街だなってことがわかるくらいで、匿名性が高い背景になってる。
背景が程良くボケていると、その場の雰囲気を生かしつつメインの被写体である猫が目立つのだ。
背景がどのくらいボケるかは、3つの要素で決まる。詳しく正確に書くとカメラ教室になっちゃってややこしいので、ざくっと行きます。
まずは、実焦点距離(35mm判換算をしていない焦点距離)。これが大きければ大きいほど大きくボケる。25mmと90mmなら、90mmのほうがボケる。望遠になればなるほどボケると思えばいい。
ちなみに、スマホのカメラは「24mm相当」とか言ってるけど、実焦点距離は数mmとすごく短いので、あまりボケないのである。だから、別途「背景ぼかし機能」(ポートレートモードとか)が必要なわけだね。
次は、カメラと猫と背景の距離。猫が近くて背景が遠いと、よりボケる。スマホでも、猫が近ければ背景がそれなりにボケてくれるのは、これが理由。
3つ目は、絞り値(F値)。スマホのカメラはF値固定だけど(F1.8とか)、本職のカメラはF値は可変。この数字が小さいほどよりボケるし、大きいとボケは小さくなる。
例をひとつ。F2.8とF16の撮り比べだ。
猫が2匹いて、片方にピントを合わせると、もう片方がボケちゃう、なんとか両方に合わせたいってことはたまにある。
実例を挙げると、2匹の猫が向かい合ってたのでカメラを向けたのだけど、黒猫にピントを合わせると後ろの猫がぼけちゃうし、その逆もしかり。絞り値を調節して両方に合うようにしたのだった。
かくして、人はボケさせたりボケさせなかったりしながら猫と戯れるのであった。ボケは背景だけじゃなくて、前景にもかかわってくる。
頭で考え出すと面倒くさいけど、ちょっとした工夫で背景やボケ具合をコントロールすることでイメージどおりの写真を撮れるから、レンズ交換ができるカメラは面白いわけだ。
と言いつつ、次回はスマホが登場するけど、細かい事は気にしないでください。
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筆者紹介─荻窪 圭
老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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