9年ぶりに参加のグッドスマイルレーシング
3月31日、お台場青海NOP地区で開催された「Yupiteru presents お台場痛車天国2024」(以下痛車天国)。主催は変われど2008年から「痛Gふぇすた」としてお台場青海NOP地区では定期的に痛車イベントが実施されてきた歴史があり、今回は八重洲出版「痛車天国」誌のイベントとして開催されました。
この痛車天国では、2015年10月の「痛Gふぇすた2015」以来の約9年ぶりにグッドスマイルレーシングが出展するとあって(6年ぶりの晴れ! 痛車が1000台集結の「痛Gふぇすた2015 in お台場」レポ)、SNSでもかなりの話題となりました。展示車両は2月のワンダーフェスティバルでお披露目となった「グッドスマイル 初音ミク AMG」の2024バージョンと、今回初お披露目となったTKRI with GOODSMILE RACINGの「初音ミク レーシングプロジェクト KYOJO CUP 2024」参戦マシンが並びました。
女性レーサーだけの競技に
初音ミクレーシングプロジェクトが挑む
「初音ミク レーシングプロジェクト KYOJO CUP 2024」を説明すると、グッドスマイルレーシングのSUPER GTドライバーである片岡龍也選手が代表のチーム「TKRI」とグッドスマイルレーシングが協力し、2024年のインタープロトシリーズ/KYOJO CUP(女性のみのレース)に参戦するというもので、1人の女性ドライバーをオーディションで選出し、3年間のKYOJO CUP参戦を通して育成していくというプログラムとなります。
このオーディションはかなり厳正に行なわれ、最終選考は富士スピードウェイのカートコースで模擬レースをし、走りと人間性の両面から審査されるというというもの。
このプログラム参加ドライバーとして厳しい審査に合格したのは岡本悠希(おかもと ゆうき)さん。
現在22歳となる岡本悠希さんが初めてモータースポーツに触れたのが2023年の夏ごろ。クルマ好きのお父様と出かけたイベントでたまたま乗ったカートに面白さを見出し、お父様やお父様の友人などに背中を押されたのがきっかけで、自分用のレーシングカートを購入。9月に初レース出場し、リザルトは「目の前でスピンした人がいたのでビリではなかった」とのこと。
そこからどんどんカートにはまっていき、練習走行を重ね11月にもレースに出場。そんな時期にSNSで「初音ミク レーシングプロジェクト KYOJO CUP 2024」のドライバー募集を知って応募。書類選考を通過して、今年1月15日に行なわれた富士スピードウェイの最終選考に臨んだとのこと。
「片岡さんが最終選考の冒頭で、速いだけでは選ばれません、とおっしゃったので自分ならどういう風に選ぶだろう」と考えながらオーディションの最終選考を走った岡本悠希さん。後日、合格の電話を受けたときはお父様とハイタッチをして喜んだそうです。
その後、参戦マシンでの初走行を富士スピードウェイで実施。「生身で200km/hを走るのがこんなにすごいことだったとは思いませんでした」と語る岡本悠希さん。「参戦マシンはウィンドウシールドがないので風が思いっきりヘルメットに当たりますが、その風で首が持っていかれそうになるんです」と200km/h走行初体験を語ります。
5月12日にはKYOJO CUPの初レースがあります。岡本悠希さんの目標は「周回遅れにならないこと」。レースは富士スピードウェイで開催されますが、KYOJO CUPのトップクラスのラップタイムはおおよそ2分ちょうどくらい。岡本さんは2分10秒を切るタイムで12周のレースを走れば周回遅れにならない計算です。
初心者にとってはかなり恵まれた環境での参戦なので、周囲からいろいろなことを言われる可能性も否定できません。大丈夫ですか? と質問したところ「その覚悟はできています。むしろ速くてひがまれるくらいでなければ私自身の成長はないと思います。メンタルは強い方だと思っています」と心強い答えが返ってきました。
また、選考にも携わり、本当の意味でのアンバサダーとして「初音ミク レーシングプロジェクト KYOJO CUP 2024」に関わることとなった、つっつこと荒井つかささん。「女性として岡本悠希さんをサポートしながら、このプロジェクトやKYOJO CUPを盛り上げるために発信をしていきたいと思います」と語ります。
岡本悠希さんや荒井つかささんが着るチームシャツと同じものが「初音ミク レーシングプロジェクト KYOJO CUP 2024」の個人スポンサー特典となります。「チームとしてのユニットは10人もいない程度なので、個人スポンサーさんが同じシャツでたくさん応援してくれると心強く感じます」と荒井さん。
2024年仕様のSUPER GT参戦マシンも大人気!
初お披露目の「初音ミク レーシングプロジェクト KYOJO CUP 2024」参戦マシンもさることながら、やはり大人気なのがSUPER GT参戦マシン「グッドスマイル 初音ミク AMG」の2024バージョン。
ボンネットを開けたり、ドアを外して車内を見せてくれたりと、かなりの大盤振る舞い。特に車内はレースのピットウォークでも見ることができない部分なので、熱心に写真を撮るファンが大勢いました。こういったイベントならではのサプライズにファンは大喜びです。
1000台は無理だけど特に目立った痛車を紹介
参加台数1000台の枠がたった4時間で埋まってしまった痛車天国。とても全車を紹介するのは無理なので、目についた何台かを紹介します。
車種ごと、作品ごとに並べられていく痛車たちですが、車種ごとの並びでもAE86レビン、トレノとなるとなかなかの見応えとなります。
モータースポーツリスペクト系ではスーパー耐久がこれから来そうな予感。NDロードースターは自車の排気量に合わせてスーパー耐久 ST-5クラスのゼッケンスペースを合わせています。白いアクセラハイブリッドは、ハイブリッドに合わせて開発車両が参戦するST-Qクラスのゼッケンスペースを自作。また、スーパー耐久の一部クラスの車両規定にある「エアロは公道走行可能なものに限る」という部分を活かし、本物のスーパー耐久用エアロを装着しています。
何だこれは? と注目を集めていたのが、上半分だけをカットして持ってきたスバル ヴィヴィオ。埋まっているように見えるところがポイントです。
かつて池袋にあったトヨタの大型ショールーム「amlux(アムラックス)」と東京トヨペット(現トヨタモビリティ東京)が認定中古車を使って、ガチで版権交渉をして限定1台ずつ発売されたトヨタクオリティーの痛車、ガルパンヴィッツとガルパンプリウス。
2013年3月、大洗の海楽フェスタでの初公開から11年を経た今でも、ラッピングを補修しながら現存していることがスゴ過ぎます。オーナーさんの愛を感じるこの2台は痛車文化遺産と言ってもいいでしょう。
キャラクターを貼るばかりが痛車ではないと魅せてくれる、S54Aスカイライン。モチーフはガルパンに出てくるチャーチル戦車。そのチャーチルの特徴的な部分を織り込んでデザインされたグラフィックは、思わず唸ってしまいます。
旧車系は、痛車ではなくても現存車を見ることが稀な車種が堂々と痛車になっています。よく「こんな車種で痛車とはもったいない」という声を聴きますが、実は痛車となることで思いっきり愛を注入されているので、クルマとしてみても状態が良いことが多いのです。
以上、痛車も全国から1000台も集まると多種多様な表現方法、カスタマイズを見ることができて、痛車天国は本当に楽しいイベントとなっていました。出版不況やコロナ禍の影響で何度も消えそうになったこの地での痛車イベントの火は、絶やさず灯し続けてほしいと思います。
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