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70憶パラメーターの軽量版から

NTT版の大規模言語モデル(LLM)、tsuzumiの商用化スタート、勝算は?

2024年04月01日 08時00分更新

パートナーや利用者との連携も重視している

 あわせて注目しておきたいのが、パートナープログラムと、メンバーズフォーラムを同時にスタートしたことだ。

NTTの新LLM tsuzumi

 正式にはいずれも2024年5月からの開始になるが、パートナープログラムでは、生成AIを導入するサービスを保有および開発する企業を対象に、tsuzumiをサービスに組み込むことを支援する「ソリューションパートナー」、特定業界のデータを持つ企業や業界の課題を熟知する企業とともに、業界・業務特化モデルの共同開発を行う「モデルパートナー」、コンサルティングから構築までを行える企業や、地域顧客とのリレーションがある企業などを対象に、tsuzumiを用いたインテグレーション支援を行う「インテグレーションパートナー」に分類。それそれに対して、検証環境の提供や専門的技術のサポート、パートナー間の情報共有や共創支援を行うことになる。さらに、メンバーズフォーラムでは、tsuzumiなどのAIを利用している顧客を対象に、メンバー間だけで情報を共有できる会員制Webサイトを用意し、事例の紹介や、双方向で情報交換ができる場を提供することになる。

 これらの仕組みを商用サービスと同時にスタートしたことからもわかるように、パートナーや顧客企業とともに、tsuzumiのモメンタムを高めていくというのが、NTTの手法であり、まさに日本の市場に最適化した取り組みだといっていいだろう。

古来の楽器「鼓」のイメージとかさねて国産LLMをアピール

 tsuzumiの名称の由来となったのは、邦楽器の「鼓」である。

 島田社長は、「鼓は小さいながら、調べ緒により様々な音が出せる。また、見た目が美しく、演奏時の所作が美しい。伝統芸能の要となる楽器である」としながら、「その一方で、tsuzumiは、国産LLMとして小型軽量であり、性能が高い。また柔軟なチューニングができるという特徴を持ち、鼓との共通点が多い」とする。

 日本で生まれ、日本の市場に最適化したtsuzumiは、日本に最適化した体制で普及戦略を推進することになる。

 商用サービス開始の説明会のなかでは、グローバル戦略についても言及したが、島田社長は「まずは日本市場が中心になる。ここで成果をあげることが先決である」とする。

 国産LLMであるtsuzumiの船出は、まずは順調そうだ。

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