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70憶パラメーターの軽量版から

NTT版の大規模言語モデル(LLM)、tsuzumiの商用化スタート、勝算は?

2024年04月01日 08時00分更新

国内LLMならではの導入を進める

 tsuzumiが持つ4つの特徴は、日本の企業から、高い評価を得ている。

 島田社長は、「2023年11月の発表以降、国内を中心に、幅広い業界から500社以上の導入相談がある」と明かした。

NTTの新LLM tsuzumi

 同社が公表した資料によると、500社以上の導入相談のうち、業界別では、製造が18%、自治体が14%、金融が12%、ITが11%、サービスが8%、省庁が7%などとなっており、幅広い業界から問い合わせがあるとともに、「金融や自治体などの機密性が高いデータを取り扱う分野からの問い合わせが多い」とする。

NTTの新LLM tsuzumi
NTTの新LLM tsuzumi

 実際、導入相談の活用領域を見ると、tsuzumiならではの特徴が、高く評価されていることが浮き彫りになる。

 導入相談のうち、63%が「個人情報や機密性の高いデータを、お客様の環境でクローズドに、セキュアに学習させたい」というものであり、汎用的な活用は37%と3分の1強に留まる。

 導入相談企業からは、「オープンデータのみを学習したOpenAIでは、社内業務への適用が難しく、tsuzumiによって、社内機密データをセキュアに学習させて活用したい」、「CRMなどの顧客情報をセキュアに学習させ、顧客接点のCX向上やパーソナライズ化に活用したい」、「自社のオンプレミス環境で、自社に特化したLLMを構築したい」、「プライバシーと情報漏えいに関する社内のガイドラインが厳しいので、tsuzumiに期待している」といった声があがっているという。

 「tsuzumiによって、カスタマイズしたLLMを活用したいといった要望や、自社環境でのセキュアな運用をしたい、特化したLLMを構築したいという要望が多い。これらは、tsuzumiの特徴が生かせる領域である」とする。

 一方、用途別では、「CX・顧客対応改善」が31%、「EX・社内業務改善」が32%、「IT/運用自動化」が14%となっており、この3つの領域で4分の3を占める。

 「CX・顧客対応改善」では、金融・保険におけるコールセンター業務の効率化、フロント顧客対応の効率化、生保販売用バーチャルコンシェルジュでの活用のほか、運輸における荷物のイレギュラー対応、製薬におけるバーチャルヒューマン対応などがある。

NTTの新LLM tsuzumi

 「EX・社内業務改善」では、自治体における議会の議事録作成および要約などでの活用があり、「IT/運用自動化」では、社内ITヘルプデスクにおける問い合わせ対応や、IT運用自動化サポートなどに適用しているという。

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