◆日産がフォーミュラEに長期参戦発表
2050年までのカーボンニュートラル実現のため
日産は3月28日、東京お台場で開催される電動フォーミュラの世界選手権「ABB フォーミュラE チャンピオンシップ」に合わせ記者会見を実施。このフォーミュラEシリーズに2030年まで参戦を継続すると発表した。
フォーミュラEについて簡単に説明すると、フォーミュラ1(F1)の電気自動車(EV)版で、EVレースの世界最高峰という位置付け。化石燃料を使わないレースカーが、世界中の市街地コースで速さを競う。日産は2018年から日本メーカーとして唯一参戦しており、そのほかにポルシェやジャガー、マクラーレンなどの世界中の自動車メーカーが参加している。
そんなフォーミュラEだが、3月30日にビッグサイト周辺で「2024 TOKYO E-PRIX」が開催される。フォーミュラE史上、日本初開催となり、さらに市街地コースということも注目を集めている。なお、日産は2台体制で母国優勝を狙う。
日本ラウンド開催直前に2030年までの参戦継続を発表したのも、今後来る電動化社会に向けて様々な技術を市販車にフィードバックするためだろう。2030年までにはフォーミュラEの第4世代(Gen4)の開発も行なっていくという。なお、このマシンは回生量は最大700kW、最大出力は600kWになるとのこと。
記者会見では日産フォーミュラEチームの監督であるトマソ・ヴォルペ氏が、参戦の契約書にその場でサイン。「2030年までの長期的な参戦を発表した最初のメーカーになれて誇りに思う」と語った。日産は長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を掲げており、2030年度までに計34車種の電動車両を投入すると発表。これは2050年までに製品のライフサイクル全体でカーボンニュートラルを実現するという目標を支えるもの。「Nissan Ambition 2030を実現するために、フォーミュラEは最先端の電動化技術を開発できる重要なプラットフォームです」と、参戦の重要性を説明した。
また、スペシャルゲストとして、フォーミュラE 最高経営責任者 ジェフ・ドッズ氏、FIA シニア サーキット スポーツディレクターのマレク・ナワレツキ氏の2名が登壇。参戦の調印式をしたり、ダルマの片目を黒く塗ったりなど、日産のチームを応援した。
ジェフ・ドッズ氏は日産の長期参戦発表を受けて「まず、東京で開催できるということに、小池都知事をはじめ関係者の尽力に感謝します。そして、日産が2030年まで参戦継続することを大変うれしく思います。日産と私たちはグローバルに持続可能性を追求し、電動化を通じてクルマの最高の性能を実現するという価値観を共有しています。日産のようなグローバルなブランドがシリーズ開催国やその他の国において、大きな存在感を示すことはより多くの観客にシリーズをアピールできるだけでなく、電動化技術の世界的な普及にも大きく貢献すると確信しています。今後も日産の活躍に期待しています」とコメント。
マレク・ナワレツキ氏は「フォーミュラEに関する技術は驚くべきスピードで発展しており、この選手権も同様に急成長していることを誇りに思います。電動化技術のパイオニアとして、日産がフォーミュラEの次時代へと歩みを進めることに驚きはありません。私たちの関係が今後も繁栄し続けることにワクワクしています」と語った。
◆日産フォーミュラEチームの参戦会見には
ドライバーとエンジニアも参加
次は参戦チームである「日産フォーミュラEチーム」による「2024 TOKYO E-PRIX」への参戦会見が行われた。会場には先ほども登壇したトマソ・ヴォルペ氏、ドライバーのサッシャ・フェネストラズ選手とオリバー・ローランド選手、そしてチーフパワートレインエンジニアの西川直志氏(日産自動車)の4人が登場した。
ヴォルペ氏は「東京でのレースは日産にとってホームレースなので非常に楽しみにしている」とコメント。SUPER GTでも活躍したフェネストラズ選手は「フォーミュラEのクルマはエネルギーのマネジメントが今まで乗ってきたレースカーと比べて難しい」とマシンの特性について語り、ローランド選手は「今シーズン2回表彰台に立っているので、土曜日レースでも再現したい」と自信を見せた。
市販車開発から、フォーミュラEのパワートレイン開発に抜擢された西川氏は「見どころはエネルギーマネジメントの駆け引きですね。あと、フォーミュラEは音がないと言われているけど、実際の走行音を聞いてほしいですね!」とレースの見どころを教えてくれた。
お台場の市街地でレースの世界戦が開催されるのは非常にレアなので、この機会にぜひ見に行ってもらいたいが、チケットはすでにソールドアウト。だが、周辺で様々なイベントが開催されているので、見に行ける人はレースを見て、チケットが手に入らなかった人は雰囲気だけでも味わいに行ってみよう。
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