時間に追われる若者たちは効率を求める
タイパを求め10代は倍速視聴・ながら視聴で生活の質を上げている
時間に追われタイパ意識した行動する10代
最近、タイムパフォーマンス、通称「タイパ」が話題になることが多い。タイパとは、時間効率化や時間対効果を示す言葉であり、Z世代は特にこの傾向が顕著と言われている。以前倍速視聴でタイパを求める若者を取り上げたことがあるが、世代間でタイパ意識はどのように違うのか。日本インフォメーションの「タイムパフォーマンスに関する意識調査」(2023年12月)を見てみよう。
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日々の生活で時間に追われている感覚があるか聞いたところ、「ある」は全体で半数以上に。性別では、女性がやや時間に追われている感覚が強くなっている。年代別で見ると、特にZ世代である女性10代で6割以上と高く、男性10代もほかの年代を上回っている。
コロナ禍と現在を比較した質問でも、10代では「時間に追われている感覚が強くなった」が4~5割と高めとなっている。コロナ明けではオンライン授業から対面授業になり、部活やサークル、イベントなども再開している。実際忙しくなり、時間に追われる事が増えているのだ。
それに伴い、男女ともにZ世代(10代)では、タイパを意識した行動が他年代に比べて多くなっている。
倍速視聴・ながら視聴は若者に浸透
タイパを意識してどんなことをしているのか聞いたところ、全体では「ながら動画視聴」が最も高く、次いで「ネットショップ・ネットスーパーの利用」「動画の倍速視聴/10秒スキップしながらの視聴」の順に高くなった。
性年代別に調べると、Z世代(10代)では男女とも、TOP5のうち4つを「倍速視聴」「ながら視聴」「ながら聴き」「ショート動画、切り抜き動画」などの「メディアコンテンツ視聴関連」の項目が占めた。
男女20代も「メディアコンテンツ視聴関連」の項目が多いが、10代と比べて購買力が上がってくる年代のため、「ネットショップ・ネットスーパーの利用」「衣類のネットショップの利用」など「買い物関連」も多くなる。
「大学のオンライン講義は倍速視聴する。半分の時間で済むし、移動もいらないから、正直助かる」と大学生は言う。「やることややりたいことが多いから、効率性を重視しないと終わらない」
日々の生活のなかでタイパを意識しているかを確認したところ、「意識している」は4割弱に。タイパを意識している人のうち約6割がタイパで生活の質が上がったと回答している。時間に追われる若者たちは、タイパを意識して行動することで生活の質を上げられているようだ。
タイパというと効率性重視でドライな印象も受けるが、時間に追われてそうせざるを得ない面もあり、生活の質を上げる効果にもつながっている。うまく取り入れることが必要な時代なのかもしれない。
著者紹介:高橋暁子
ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki
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