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ChatGPTのライバル「Claude 3」の使い方 良い点、悪い点まとめ

2024年03月22日 10時00分更新

論文の読み込みもおまかせ

 難解な英語の学術論文も、全文読み込んでしまえば要約することも、ピンポイントで質問することも可能になる。

 ここではarXivに掲載されたAnthropicの論文「Specific versus General Principles for Constitutional Al(憲法AIにおける特定の原則と一般原則)」を読み込ませてみよう。

 読み込みは、さきほどのようにテキストエディター経由で全文をコピー&ペーストするのが基本だが、PDFやWord形式のファイルを直接アップロードすることも可能だ。ただし、10MBの制限があるので、それ以上大きなファイルの場合はコピー&ペーストで対応することになる。

 また、テキストだけではなく、Pythonなどのプログラム言語、HTMLやTeXといったマークアップ言語を読み込ませても大丈夫だ。

論文の要約

プロンプト:この論文を要約してください

 上記のプロンプトで要約が作成された。昔のバージョンでは冒頭のAbstract(概要)を訳しただけのものを「要約」として出してくることもあったが、ここではしっかり本文まで読み込んだと思われるしっかりした内容の要約を出してくれた。

プロンプト:複数の倫理原則から学習させるアプローチもあるのですか?

 論文の内容に関する突っ込んだ質問についても、しっかり論文を読み込んだうえで回答してくれている(ように見える)。

 このように、長大なコンテキストウィンドウを活かした長文の要約や、そこからの質問に回答するのはClaude 3の得意分野と言ってしまってもいいと思う。

 ただし、先ほどからも何度か書いているように、まだ完全に100%信用できるまでには至っていない。自分の専門分野なら検証もできるが、詳しくない分野の文章を扱う際は十分に注意したい。

高い日本語能力。校正が的確

 ChatGPTと比較して「日本語がこなれている」という印象は強い。学習データの詳細は明かされていないが、恐らく日本の匿名掲示板などからも学習しているらしく、「日本語としておかしい」文章はめったに生成されない。

 筆者はライターなので、自分が書いた文章を読んでもらい、日本語としておかしいところがないか、いわゆる「校正」をお願いすることも多い。

 ここでは筆者が執筆した「ExcelでChatGPTを再現するシート」が想像以上に素晴らしかった」という記事を校正させてみた。

原稿のHTMLファイル

 ただし、Claude 3はインターネット上のコンテンツを直接読みに行くことはできないので、先ほどのようにテキストエディター経由でコピー&ペーストした。なお、原稿は単純なテキストではなく、画像などを埋め込んだHTML形式のものだ。

プロンプト:これは私が書いた「ExcelでGPT-2を再現したスプレッドシート」についての記事です。まずは要約してください。HTMLタグは無視してください

 原稿を読み込ませたら上記のプロンプトで、きちんと読み込めているかを確認する意味で要約を依頼した。

 先ほどの小説や論文と違い、自分が書いたテキストなのではっきりとわかる。完璧な要約である。

プロンプト:それでは、校正をお願いします。誤字脱字だけではなく、構成や表現についてもなにかあれば指摘してください。全文ではなく修正箇所だけ教えてください。

 次に、上記プロンプトで文章の校正を依頼。特に注意してもらいたいところを指定した。

 今回修正を指摘された箇所は、表現がくだけすぎていたり、強すぎたりしていた部分が多かったが、これは自分があえてそうしている部分なのでスルーすることにした。

 これに限らず、Claude 3は全体的に「礼儀正しい」「優等生」的な回答をすることがChatGPTよりも多く感じる。恐らくこれは後述する「憲法AI」の考え方に則った挙動と言えるだろう。

プロンプト:テクニカルな部分に間違いや誤解を誘うような部分はないでしょうか?

 そこで、少し自信のない「テクニカルな部分」に絞って間違いや誤解を誘うような表現を探してもらった。

 これはどれも本当に芯を食った回答で「なるほど」と納得できるものばかりだ。自分でも少し曖昧だった部分の理解を深めてくれた。

プロンプト:その他、追加したほうがいいと思われる要素など改善点があれば教えて。

 指摘を参考に原稿を修正、続けて念の為もう一度改善点がないか聞いてみると「図や画像の追加」を指摘された。これは明らかにおかしい。HTMLには画像のURLも含まれているからだ。

プロンプト:実は図版に関しては無視してもらったHTML内に記載があります

 というわけで図版があることを指摘すると「申し訳ありません。HTMLタグを見落としていました」というお茶目な回答に目を疑った。

 とは言え、続くアドバイスは図版の内容を理解した妥当なものだったので、本当にうっかりミスなのかもしれない……。

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