中国のネット企業も生成AIに積極的に取り組んでいる
死者の写真や音声からデジタル蘇生させるサービスが話題
AI関連のテクノロジーが発達し、特定の人の音声をいくつか入力するだけでAIで喋りを生成したり、同様に写真についてもAIでデジタルヒューマンを動かせるようになった。中国でも米国に追いつけと、名のあるネット企業がAIに取り組み、中国のインターネットの壁の中で十分なAIサービスが揃った。
中国のECサイトではアパレルショップが販売する服をバーチャルモデルに着させるサービスや、ライブコマースで本人そっくりのデジタルヒューマンが24時間配信するサービスが活用されるようになった。またこなれた技術が揃ったことで、これらを活用するサービスを専門企業からタオバオのショップまで、こぞって売り始めた。今回のトピックである亡くなった大事な人をデジタル蘇生をするサービスもその1つだ。
デジタル蘇生のサービスもピンキリで販売されている。ピンの方では、中国では「AI4小龍」と呼ばれるうちの1社「センスタイム」が、同社前会長の湯暁鴎氏を年次総会でデジタル復活させたことが話題になった。
湯氏は昨年12月に病で54歳という若さで他界したことでも話題になったのでなおさらだった。毎年の年次総会で登壇し、氏の話を聞くことは参加者からは定番のイベントであったが、デジタル復活したそれは、頭の下げ方や手の動きまでもが非常に自然で、話し口調トークのスタイルはもちろん、コップの水を飲む仕草まで再現されていたので驚きに包まれた。
一方キリの方はと言えば、中国のECサイトで多数のデジタル復活を販売する店がある。「AI復活」などと検索すると、日本円で200円ちょっとの料金だ。実際の中身はオープンソースのサービスを活用したものだが、一方自社開発のデータモデルを強みに、より再現度の高い蘇生ができると主張するショップもある。こちらは30秒以内の動画で199元(約4000円)からスタートし、時間が長くなれば値段も上がる。またこうした店に依頼せず自ら学んで実戦しようとする動画がビリビリなどにアップされている。
最近話題となったデジタル蘇生サービスを提供する張沢偉氏は、以前からデジタルヒューマンを研究していて実績を積み上げ、この1年で653件の復活依頼を受けた。
同氏の手法はこうだ。まずは故人の写真や音声など、本人関連のさまざまな資料を駆使してクローン人物を正確に作成する。1分の顔が全体的に映ったビデオと5分以上の高品質の音声サンプルがあれば再現できる。そして張氏のチームメンバーか、場合によっては専門の心理カウンセラーが、蘇生した人物にデジタル顔変換処理をし、クライアントとビデオチャットまでして完全再現をする。音声だけの場合もあればビジュアル付きのというのもあり、顧客のニーズにより価格は5000~1万元程度とさまざまだ。
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