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スタートして半年の日本NCRコマース、軸はAIとプラットフォームの2つ

2024年03月11日 08時00分更新

今回のひとこと

「これまでは、POSやセルフレジなど、新たなハードウェアを提供する企業だったが、プラットフォームとAIにより、カスタマジャーニー全体をカバーし、顧客体験の強化や従業員体験の再構築を支援する企業になる」

(日本NCRコマースの小原琢哉社長)

 日本NCRコマースが、2023年9月にスタートして約半年を経過した。

 米NCRが、2023年7月に企業を分割し、同年10月にリテール、レストランおよびデジタルバンキングを主要事業とするNCR VOYIX(ヴォイクス)と、ATM事業を主要事業とするNCR ATLEOS(アトレオス)の上場会社2社を設立。その動きにあわせて、日本法人では、日本NCRのすべての事業を、新たに設立した日本NCRコマースに譲渡。新たな社名のもとでスタートを切っていた。

 もともと日本NCRが担ってきたのは、NCR VOYIXの事業領域であり、NCR ATLEOSが担当するATM事業は、日本では1998年に日本ATM(現SocioFuture)に分社化している。日本での体制は、昨年秋の米本社での分社化を25年先取りしていたともいえそうだ。そのため、こけまでの日本NCRは、日本NCRコマースという社名に変わっても、経営体制や本社拠点、取り扱い製品などに変更はない。

 日本NCRコマースの小原琢哉社長は、「米国では140周年を迎え、日本では2月以降、105年目に入っている。2023年秋の分社化は、歴史を持つNCRにとって大きな一歩を踏み出すものになった」と語る。

NCR VOYIX

 分社化の背景にあるのは、2つの主要事業の体質の違いである。

 「NCR VOYIXとNCR ATLEOSの事業規模はほぼ半分ずつになっている」としながら、「NCR ATLEOSが担うATM事業は、世界でトップシェアを誇るが、キャッシュレス化の影響を受けており、安定成長の市場となっている。金融市場をしっかりとサポートすることが中心になる。それに対して、NCR VOYIXが担当するリテールやレストラン市場では、デジタル化に舵を切る動きが加速しており、顧客体験にも大きな変化がある。デジタル化に向けた投資やスピードが異なる。そこで分割し、別会社として事業を進めることになった」と説明する。

 NCR VOYIXで取り扱うPOSソフトウェア、セルフレジ、デジタルバンキングは、世界でトップシェアを誇り、世界大手小売業の67%、大手外食産業の80%、トップ15銀行のうちの13銀行が、同社のソリューションを採用している。また、5万5000店以上でNCR VOYIXのプラットフォームを採用。約30万店で同社製品を導入しており、280万人以上が同社のデジタルバンキングに登録しているという。

VOYIXの由来

 NCRコマースの米本社の新社名であるVOYIXは、「Voyage(航海)」と「X」を組み合わせた造語だ。

顧客に寄り添いながら、新たな挑戦の航海に出ていくという意味とともに、エクスペリエンス(X)を中心に事業を展開すること、さらには店舗によるフィジカルと、eコマースなどによるデジタルを組み合わせた新たな顧客体験を実現するという意味があるという。

 「最初は新たな社名にあまりイメージがわかなかった。だが、半年を経過すると、だんだん馴染んでくる。また、コーポレートカラーが、従来のグリーンからパープルに変わったが、パープルには、夢や浪漫、高貴という意味がある。いい色だと思っている」と、日本NCRコマースの小原社長は笑う。

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