KDDIは4月6日、ロボットで基地局アンテナを設置する実証を2023年12月7日に実施し、成功したことを発表した。
KDDIとGITAI USAは、ロボットのみで設置が可能な基地局の支柱やアンテナを新たに試作。本実証では、あらかじめ設置していた支柱に探査車(GITAI製ローバー)がアンテナを運搬し、GITAI製アーム型ロボットがアンテナを支柱頭頂部に設置し、ケーブルに接続の上、通電に成功した。
本実証の背景として、NASAやJAXAをはじめとした世界各国の宇宙機関は、2020年代後半の有人月面着陸および、継続した月面探査活動を通じた科学的発見・産業振興・次世代の育成を目指す「アルテミス計画」を進めている。継続した月面探査活動には月面上での高速大容量な通信環境が必要とされており、月面でのモバイルネットワーク構築が期待されている。
月面は放射線量が地球上の200倍、気温がマイナス170度から110度まで変化するなど過酷な環境であり、モバイルネットワーク構築には無人での基地局設置が必要となる。一方で、地上で利用している基地局の機器は有人設置前提で設計されているため、ロボットのみで基地局設置が可能な支柱やアンテナなどを開発する必要があるという。
このような課題解決に向け、国際宇宙ステーション(ISS)でロボットの自律作業を成功させた実績のあるGITAIと、地上でのモバイルネットワーク構築の知見があるKDDIが、基地局を無人設置するための手法の検討および無人設置可能な機器の開発を目指し、本実証を実施した。
両社は、月面探査活動を支援するため、本実証を通じて得た知見を基に月面モバイルネットワーク構築を目指す。
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