生体の研究材料として優れ、進化の系統樹でも脊椎動物に近い
ウニの研究をすると、人の研究が進むのはなんで?
3月2日、日本トーターグリーンドーム前橋で開催中の「UPDATE EARTH 2024 ミライMATSURI@前橋」。
展示エリアには主に企業や自治体がブースを出展しているが、異能vationのエリアでは、独創的なアイディアを持つ個人の出展者が、プロダクトや研究成果を出展していた。
どんなブースがあるのかと異能vationエリアをうろついていると、生きているウニの展示が目に入った。価格の高騰が最近話題になっている、あのウニだ。
「なんでウニ!?」と思ってブースをのぞいてみると、パネルに「ウニを知り人を知る/谷口俊介」とある。話を聞いてみれば、谷口俊介氏は筑波大学 生命環境系 下田臨海実験センター所属の准教授で、ウニの研究を重ねているのだという。
ウニは進化の系統樹的に脊椎動物に近く、ウニを用いた研究の成果は、人にも応用できる可能性があるのだという。なるほど、それでウニを知り”人を”知ると書いてあるのか。
谷口俊介准教授は主にウニの幼生を用いた研究を進めており、外的な刺激に対する生体の反応や、神経の形成の過程、光と行動の関連性などを調べている。ウニの幼生は消化器の構造が人と似ている時期があり、また細胞に透過性があるため、研究材料として非常に優れているのだそうだ。
さらに人の細胞と比較すれば構造がシンプルであり、ノイズの少ない純粋な神経の反応といった研究結果が得られやすいとも教えてくれた。将来、ウニが私たちを救ってくれるかもしれない。
谷口俊介准教授の話をききながら「このウニってどこから採ってきているのかな?」と気になったので、「どうやって入手するんですか?」と聞いてみた。「環境省から研究向けの特別な許可を取得していて、自分で潜って採りにいくんです」と教えてくれた。すごい。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります