サントリー食品インターナショナルは、「伊右衛門」を3月12日からリニューアルし、全国で発売します。
「伊右衛門」は誕生から20周年を迎えるサントリーの緑茶ブランド。みなさんも「伊右衛門」を飲んだことは、数えきれないほどあるのでは? この度、伊右衛門は、史上最高レベルの“濃さ“を味わえる「旨濃い」飲料へと進化します。
20周年にもなるロングセラー商品をなぜ大きく変える必要があるのでしょうか? 2月末に都内某所で開かれた発表会では、リニューアルの背景が語られました。
緑茶のブランド力低下、「伊右衛門」は販売本数過去最低に
サントリー食品インターナショナルの2023年度の飲料の売上実績は、前年比102%と、過去最高を記録しました。一方で、「伊右衛門」の人気はここ2年で低迷し、2023年には販売数で過去最低に。
要因として、近年の気温上昇に伴う水分補給ニーズに向けて、すっきり飲める味わいのものが各社から販売されて同質化してきたこと。同じような味わいであればと、飲料メーカーのナショナルブランド(NB)ではなく、より安価であるスーパー、コンビニなどのプライベートブランド(PB)を選ぶ人が増えてきたこと。緑茶から天然水や麦茶への流出、などがあげられるそうです。
「緑茶は単に喉を潤すためのペットボトル茶の1つになってしまい、緑茶ならではの独自価値が希薄化してしまった。これを伊右衛門の不振の原因だと考えています」と、SBFジャパンブランド 開発事業部の多田誠司部長。
「伊右衛門」史上過去最大の茶葉量へ
そこで、新しい「伊右衛門」では原点に立ち戻ることにしました。
「伊右衛門の原点とはなにか。最もおいしい緑茶を提供し、潤い豊かな生活や文化を創造すること。2024年の伊右衛門は、1度飲めば違いがわかる、濃く、うまく、緑茶本来の味わいが楽しめるお茶を目指しました。既存のすっきりしたスタンダードの緑茶とは一線を画す領域の旨みと濃さを体験できます」と、多田部長。
リニューアルポイントは、コクがしっかりとある“旨み抹茶”を現行の3倍に増やして贅沢に配合。さらに、全体の茶葉量が現行品から1.5倍も増えている点に注目です。これは「伊右衛門」史上過去最大の茶葉量だそう。
カテキン量としては現行の2倍に。お茶の適度に適度な苦みが付与され、よりお茶らしい味わいを感じるとともに、茶葉からの香りも増し、全体の満足感が向上するように設計したということ。
もちろん、茶葉は従来の「伊右衛門」と同様に、創業200年以上の歴史をもつ、京都の老舗茶舗「福寿園」の茶匠が厳選したもの。
一番茶を中心とした上質な茶葉の組み合わせ、数十パターンのブレンドを試作した中で、お茶本来の深み、旨み、複合的な香りを実現するブレンドを選定したとのことです。
従来との味の差は? 飲み比べてみた!
発表会会場では、発売時(2004年版)、現行品(2023年版)、新作(2024年版)の「伊右衛門」を飲み比べることができました。
3つの「伊右衛門」は見た目からして異なり、発売当初のもの澄んだ薄緑で、現行品はややにごりがありました。新作は、3つの中で最も濃くて深い色み。
飲み比べてみると、発売当初のものが最も澄んだ味わいで、現行品は爽やかながら、茶葉の余韻が残る香り良い仕上がり。どちらもおいしいですが「すっきりと飲みやすい」という感想がしっくりきます。
続いて、新しく発売される「伊右衛門」を飲んでみたところ、目が覚めるような“濃さ“に驚きました。
ほどよい苦みと、茶葉のふくよかな香りで、一口目からしっかり“お茶感”があります。「味わいを濃厚にした」とのことだったので、「苦いのかも」と予想していましたが、実際には味に深みがあり、やわらかく、まろやかで、飲みづらいと感じるような苦みではありません。
どうやら、茶葉をバランスよく配合することで、カテキン量は多いものの、芳ばしい香りが長く続き、強い苦みは感じないように考えられているようです。
新CMキャラは堺雅人さん、古川琴音さん
発表会では、新イメージキャラクターに採用された堺雅人さん、古川琴音さんが登場しました。
3月9日から順次オンエアされる新TVCMは、新しい「伊右衛門」をまだ味わったことがない堺さんを、謎めいたキャラである古川さんが、時には美容師に、時にはソムリエになって、「伊右衛門」の世界に誘うという内容。
堺さんは「もともと(本木雅弘さんが登場していたTVCMが)すごく好きなシリーズだったので、本木さんを中心としたみなさんが作ってきた世界に入って、味わっていき、21年目からまた積み重ねていければと思っております」と新キャラクターへの意気込みを語りました。
CMの役柄上、撮影では新しくなった「伊右衛門」を飲む機会がなかったという堺さん。この発表会で、初めて新「伊右衛門」を体験しました。
ひと口飲んで「甘い」と、驚きの声! 「濃いというより甘くておいしい、濃いっておいしさなんだね」と新「伊右衛門」に感動した様子でした。
伊右衛門、21年目の新しい一歩
売上不振の中、大きく味わいを進化させて挑戦する新「伊右衛門」。緑茶カテゴリー全体としては、“スッキリした味わい”がスタンダードとなっている中、“濃さ”をうたった新商品にどのような反響があるか興味深いです。
20年続いたTVCMのシリーズを、本木雅弘さんによる「作り手」のイメージから、堺雅人さんによる「飲む人」へとチェンジした点も注目です。
実際に飲んでみた感想としては、確かに変化を感じられるものでした。従来の「伊右衛門」からどう進化したのか、こだわりの緑茶とはどんな味か、手に取って味わってみてはいかがでしょう。
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