Yakult1000のCM「坂本龍馬」篇では、写真をもとに再現されたCGの坂本龍馬が“起用”されている。また坂本龍馬の“声”には、ORENDA WORLDがAIで生成したものが使用された。
現代に存在しない偉人の声を甦らせるというプロジェクトは、どのような作業だったのか? 坂本龍馬の声の生成を担当した、ORENDA WORLDの音声AIディレクター 長谷川雄一氏と、音声AIエンジニア 鶴口泰寛氏に話をきいた。
AIで偉人の声を再現、ORENDA WORLDの試み
――プレスリリースには「復元された坂本龍馬の骨格から、AIで声を再現した」という記載が見られます。実際には、これはどのような作業だったのでしょうか。
鶴口「骨格というよりも“顔”と言った方が適切かもしれません。弊社で、声と、その持ち主の顔を大量に紐付けたデータベースを持っているのですが、復元された坂本龍馬の顔から、AIを用いて推定するという手法で復元しました」
――なるほど。いまはもう存在しない偉人の声いう点での苦労はありましたか?
鶴口「オリジナルが存在しないという点に難しさはありましたが、私たちとしても『どんな声になるんだろう?』という楽しみな気持ちがありました」
――坂本龍馬の声と聞いて、なんとなく低い声を想像していましたが、完成したCMを見てみると、高すぎず、低すぎずといった中間的な声質ですよね。
鶴口「そうなんです。AIで復元された坂本龍馬の声は、想像よりも高めの声でした。若いと声は高くなる傾向にあるので、28歳という若さも影響していると思いますが」
長谷川「実作業時には、このほかにもいくらか高さを変えたサンプルを作成しましたが、最終的には、中間的な高さの声が採用されましたね。CM内のナレーションが、低くてざらついたような声質なので、ディレクション的にも、敢えて声質にコントラストをつけているのだと思います」
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