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粗探し、鬱憤ばらしの対象にされるケースも

炎上スピード増速中! 炎上最多はTwitter(X)、何気ない発言・写真も原因に

2024年02月20日 09時30分更新

媒体/サービス別の炎上件数

炎上するまでのスピードが加速した理由は?

 SNSでの炎上をニュースで見かけることは多いが、実際に増えているのか。誹謗中傷対策センター(ネクストリンク社)の「ネット炎上事例まとめ(2023年下半期/7月~12月)」を見てみよう。

 同センターの調べによると2023年の炎上件数は計330件で、2022年度よりも増加した。

 炎上が発生するメカニズムは、「1.問題となる発言が投稿される/2.その内容が、SNSなどで拡散される/3.拡散された情報が、ネットニュースやメディアなどに取り上げられ炎上」となっており、これはずっと変わっていない。

 近年、SNSで拡散されると同時にメディアなどでも取り上げられることが増えたため、炎上のスピードは上がっている。炎上ネタは視聴者の関心も高く、視聴率やPVなどにつながりやすい傾向にある。それゆえインプレッションを求めるSNSと、視聴率を求めるメディアの両方で取り上げられやすいことが背景にはありそうだ。

相談(作業)件数の内訳:事業者/サービス別

何気ない写真や発言での炎上も増加

 炎上した場所に関しては、最多は匿名性が高く拡散力も強い「Twitter(現X)」(37%)。そのほか「TV」(19%)、「YouTube」(18%)、「Instagram」(5%)、「TikTok」(4%)などとなった。どのSNSでも炎上は起きているのだ。

 総務省の「令和4年度 インターネット上の違法・有害情報対応相談業務等請負業務報告書」を見ても、相談(作業)件数の内訳はXが15.3%でトップとなっている。Xがきっかけでの炎上は今後も課題となりそうだ。

 最も炎上した業種は「娯楽業」、発生原因は「芸能人・著名人・YouTuber」が最多に。そして炎上区分は「顧客クレーム・批判」が最多となっている。顧客クレーム・批判は、明らかに問題があるケースばかりでなく、あえて粗探しをしたり、鬱憤ばらしの対象にされているケースも多いようだ。

 とあるスポーツ選手が、試合に負けてしまった翌日に夫婦の仲良し写真をSNSにアップしたところ、「空気読んで」「浮ついたことしてるから負けるんだろ」などと批判のコメントが投稿されてしまうなど、何気ない写真や発言で炎上につながる例も増えている。

 物価高が続き税負担も増加傾向にあるなど、閉塞感のある状況が続くことから、不満のはけ口として非難・批判を寄せる層も少なくないというわけだ。

 近年、問題がある内容でなくても炎上する事例が増えている。炎上ネタを拡散するSNSユーザーやメディアも多く、炎上スピードも上がっている。ただし、炎上するネタのパターンはある程度決まっているため、そのような発言を避けることで、ある程度リスクを減らすことはできるだろう。

著者紹介:高橋暁子
 ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki

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