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Auracast初の実用製品が登場、大規模施設での応用も想定したAuri

2024年02月11日 09時00分更新

業務用らしく、拡張性が高い設計

 Auracastはまだ普及の緒に就いたばかりであり、市場に出ている対応製品はほとんどないため、AuriはAuracastに対応した送信機と受信機のペアとして提供されている。受信機はネックループなどで体に装着して、ヘッドホンを接続して音声を聴ける。

 受信機には複数対応の充電ベースが付属している。ディスプレーもあり、これでAuracastのチャンネルの説明表示ができる。例えば、劇場で使用する場合は受信機のディスプレーにTheaterと表示される。受信機にはチャンネルの切り替えボタンのほかに、言語切り替えボタンも装備されている。

受信機の解説図(公式サイトから)

 送信機はPoE給電対応のEthernet(RJ45)やDanteなどネットワーク入力端子が装備されている。背面図を見ると、これらのネットワーク端子のほかに見慣れない緑色の入出力端子がある。これは、Euroblockという欧州のプロ市場で、バランス接続のアナログ入出力をするために使用される端子だ。Euroblockは、マイク入力とLINE入力、そしてLINE出力のために3系統を装備している。

送信機の説明図(公式サイトから)

 送信機なのに、なぜ出力端子があるのかというと、前述したヒアリングループシステムなどに入力を分配するためだ。これによって、会場をAuracast(Bluetooth)とヒアリングループの2系統でカバーすることができる。電波と電磁誘導というまったく異なる原理で伝送することで、お互いの不得意な領域を補えるようにしているのだろう。

 このように会場施設にはAuri送信機を1台設置、複数のゲストがそれぞれAuri受信機を持ち、ヘッドホンなどを使ってアナウンスを聴くことになる。もし施設に複数の場所があれば、Auracastのチャンネルを切り替えることで場所の選択が可能だ。

 Auracastでは、いまのところどうしても、Auriのように送信機と受信機をペアにしたシステムが現実的となる。しかし、将来的に完全ワイヤレスイヤホンがAuracastに対応すれば、受信機は不要となる。博物館などの施設では便利に使えるようになるだろう(ただし、その場合にはAuracastのチャンネルを切り替えるUIが必要になる)。

 また、Auriはブロードキャスト専用だが、さらに完全ワイヤレスイヤホンでは、スマホと接続するためのユニキャストモードと切り替える必要も出てくる。博物館の中でも、スマホからBGM的に音楽を聴く場合もあれば、ALSシステムで学芸員の案内を聴く場合もあるだろう。  そのためのUIはスマホのアプリを使ったり、イヤホンを直接操作したりする方法が考えられる。この点も、Auracastが普及する上での課題となるだろう。

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