現行GeForce&Radeonの中での立ち位置を再確認する
今回の検証は時間的・体力的な制約が最も厳しい状態での検証となった。そこでここ2週間ほど蓄積してきたRTX 4070 Ti SUPERやRX 7600 XT 16GBの検証データを引用、さらにフラッグシップGPUの検証データを加えることで、現行GeForce&Radeonの中でRTX 4080 SUPERがどういう性能を持っているのか、立ち位置を検証していきたい。
検証環境はRTX 4070 SUPERレビュー(https://ascii.jp/elem/000/004/180/4180873/)と同じである。データの一貫性を保つため、昨年以前に発売されたRTX 40シリーズはGameReady 536.52、RadeonはAFMF(AMD Fluid Motion Frames)に対応したテクニカルプレビュー版23.40.01.10とした。そして2024年以降に発売されたGeForceやRadeonは各レビュー時に提供されたβドライバーとしている。検証にあたってはResizable BARやSecure Boot、さらにコア分離やWindows HD Color(HDR)も有効としている。
【検証環境】 | |
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CPU | AMD「Ryzen 7 7800X3D」 (8コア/16スレッド、最大5GHz) |
CPUクーラー | ASUS「ROG RYUJIN II 360」 (AIO水冷、360mmラジエーター) |
マザーボード | ASUS「ROG STRIX X670E-F GAMING WIFI」 (AMD X670E、BIOS 1807) |
メモリー | Micron「CP2K16G56C46U5」 (16GB×2、DDR5-5200動作) |
ビデオカード | NVIDIA「GeForce RTX 4090 Founders Edition」、 NVIDIA「GeForce RTX 4080 SUPER Founders Edition」、 NVIDIA「GeForce RTX 4080 Founders Edition」、 Palit「GeForce RTX 4070 Ti SUPER Jetstream OC」、 ZOTAC「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti Trinity OC」、 NVIDIA「GeForce RTX 4070 SUPER Founders Edition」、 NVIDIA「GeForce RTX 4070 Founders Edition」、 Palit「GeForce RTX 4060 Ti SUPER Jetstream 16GB」、 MSI「GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC」、 AMD「Radeon RX 7900 XTXリファレンスカード」、 AMD「Radeon RX 7900 XTリファレンスカード」、 AMD「Radeon RX 7800 XTリファレンスカード」、 ASRock「Radeon RX 7700 XT Challenger 12GB OC」、 ASRock「Radeon RX 7600 XT Steel Legend 16GB OC」、 AMD「Radeon RX 7600リファレンスカード」 |
ストレージ | Micron「CT2000T700SSD3」 (2TB M.2 SSD、PCIe 5.0、システム用) |
電源ユニット | Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」(1000W、80PLUS Platinum) |
OS | Microsoft「Windows 11 Pro」(23H2) |
スペックが微増なのだからスコアーも微増
検証はいつもの「3DMark」からだ。前述の通りRTX 4080に対するRTX 4080 SUPERのスペック差分は小さい。RTX 4070からRTX 4070 SUPERのような劇的なジャンプアップは期待できないと思われる。果たしてどうだろうか。
予想通り、RTX 4080とRTX 4080 SUPERへの伸びは非常に小さく、差の大きいものでも5%未満となった。どういうテストで差が拡がったかというと、Fire Strike Ultraのように4K前提のもの(Time Spy Extremeも4Kだがこちらは伸び幅が3%程度)、そしてPort RoyalやSpeed Wayといったレイトレーシングで描画負荷の非常に高いものだった。逆にFire StrikeやTime SpyといったフルHD~WQHDで(今となっては)描画負荷のそれほど高くないテストに関しては1~2%程度しか変わらない。
そしてこの結果を見る限り、RTX 4080 SUPERはRTX 4090との差を縮めはしたものの、高い壁を崩すまでには至っていない。RTX 4080を少々強化した程度では、RTX 4090の領域には到達できないのだ。
では消費電力の比較といこう。3DMarkの“Time Spy”におけるGraphics Test 2実行時における実消費電力をHardware Busters「Powenetics v2」を利用して計測した。ここではシステム全体の消費電力とTotal Board Power(ビデオカード単体の消費電力)を比較する。アイドル時は3分間放置した際の平均値を、高負荷時は平均値や最大値のほかに99パーセンタイル点の値も比較する。
RTX 4080に対しRTX 4080 SUPERの消費電力は平均値ベースで10W上昇、99パーセンタイル点で15W上昇という結果になった。RTX 4090の消費電力は飛び抜けて高いが、TGP 320WのRTX 4080 SUPERは平均値にして85W程度下回っている。
ライバルのRadeon RX 7000シリーズにも目を向けると、RX 7900 XTXもシステム全体ではRTX 4090と似たような消費電力だが、カード単体(Total Board Power)では平均値にして40W近く下であるなど、新しい発見もあった(しかしRX 7900 XTXのアイドル時の消費電力の高さは謎である)。
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