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GeForce RTX 4080 SUPERは高負荷でこそ輝く?最新GeForce&Radeon15モデルとまとめて比較

2024年01月31日 23時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

新ハイエンド「GeForce RTX 4080 SUPER」は
RTX 4080からどの程度強くなったのか?

 2024年1月31日、NVIDIAは「GeForce RTX 4080 SUPER」の販売をグローバルで解禁した。既に発売済のRTX 4070 SUPER(https://ascii.jp/elem/000/004/179/4179725/)やRTX 4070 Ti SUPER(https://ascii.jp/elem/000/004/180/4180873/)と同様に、既存モデルの強化版だが“一部出荷分において”値下げ要素も含まれる製品となる。

 国内予想価格は16万2800円~だが、これはRTX 4080の初値が約22万円~と考えれば相当な割引だ(北米予想価格は1159ドル→999ドル)。ただ先行する2モデルと同様に、RTX 4080 SUPERに関しても16万2800円で出荷されるのは極少数で、実勢価格は既存のRTX 4080搭載カードより高くなる、と考えるのが自然だ(そうでなければRTX 4080を抱えているショップが困る)。

 そしてRTX 4070 Ti SUPERの時と同様に、RTX 4080はこれをもってEOLとなり、RTX 4080 SUPERに置換されるだろう。RTX 4080 SUPERの値段が“落ち着く”のはそこからだ。

 NVIDIAはRTX 4080 SUPERについて、PCゲームを4Kかつ最高画質設定で最大のフレームレートが期待でき、かつ生成系AIにおいても性能を期待できるGPUであるとしている。前段のゲーム云々に関してはこれまでのスタンスと同じだ。

 だが、後段の生成系AIについて、GeForce関連の製品でフォーカスを当てているというのは既存のRTX 40シリーズにはなかった謳い文句だ。生成系AI需要の高まりと高性能GPUへの注目度を考えれば当然のマーケティングといえるが、いちゲーム好きとしては大成功をおさめ言動も変わってしまった友を見たような気持ちになる……というのは過大表現ではあるまい。

RTX 40シリーズのポジショニング。RTX 4080とRTX 4070 Tiが抜け、それぞれのSUPER版が序列に加わる。そしてRTX 4080 SUPERは最高解像度と最高画質で最高のフレームレートを狙えるGPUであるとともに、生成系AIでも超高速なGPUである、とNVIDIAは主張している

 今回筆者は幸運にもRTX 4080 SUPERのFounders Edition(以降FEと略)をお借りし、検証する機会に恵まれた。フラッグシップであるRTX 4090は超高価ではあるが、現状これ以上のGeForceはないと心に平穏と安寧をもたらしてくれるGPUであった。

 では、今回のRTX 4080 SUPERは従来のRTX 4080に比べてどの程度変わったのか? ゲーマーの心に平穏をもたらしてくれるGPUに仕上がったのか? 2024年明けから始まった地獄のベンチマークロードもいよいよ最終局面。時間と体力の許す限り既存GPUとの比較から評価していきたい。

RTX 4080 SUPER FEカード表面:デザインはRTX 4080 FEのものを継承しているが、RTX 4070 SUPER FEと同様のカラーリングを採用。ブラック一色は今時の自作PCの流行とは正反対だが、これはこれでカッコ良い

RTX 4080 SUPER FEカード裏面:SUPERシリーズの刻印は文字が地の色と同じになっている。カード後部にファンが設けられ、カード表面側の空気を裏面に吸い上げる設計はもうお馴染みだろう

補助電源:コネクター形状は16ピン。初代と同じ12VHPWRなのか、それとも焼損対策の進んだ12V-2x6なのかまでは不明

映像出力:映像出力は定番の構成となる

より4Kで踏ん張れる23GbpsのGDDR6Xを採用

 RTX 4080 SUPERはRTX 4080(AD103)をベースにSM数を76基→80基とやや増量し、ブーストクロックも45MHz引き上げた。RTX 4070のようにSM数20%増量という“わかりやすい”強化ポイントではない(SM数の増加はわずか5%)ものの、VRAM(GDDR6X)のデータレートを23Gbpsに引き上げているのがポイントだ。

 ただ、RTX 4080の時点でメモリーデータレートは22.4Gbpsであるため、上昇率としては大した変化ではない。だがメモリーのデータレート(≒クロック)はVRAM性能が重要となる4Kでの描画性能に関わってくる。RTX 4080 SUPERが4Kゲーミングでの高画質&高フレームレートプレイを狙っていることを考えると、4080という型番の性格付けをハッキリさせたスペック変更といえる。

 ここまで読めばなんとなく感じると思うが、RTX 4080 SUPERはRTX 40 SUPER三兄弟の中では、最もSUPER感に乏しいSUPERとなった。RTX 4070 SUPERはSM数大幅増だし、RTX 4070 Ti SUPERはコア格上げ(AD104→AD103)でVRAMもメモリーバス幅も増加という引きのある強化ポイントを持っていたが、RTX 4080 SUPERはベースのRTX 4080がいい塩梅過ぎたのか、全体的に小幅な強化という印象が強い。そしてRTX 4090との間には非常に高い壁がある。RTX 4080 SUPERというよりは「RTX 4080 ver 1.1」位に考えたほうが良さそうだ。

RTX 4080 SUPERと、その近傍の製品とのスペック比較

GPUの情報:「GPU-Z」でRTX 4080 SUPER FEの情報を拾ってみた。メモリーの実クロックは1438MHzだが、GDDR6Xの場合これに16を乗ずることでデータレートが出る(1438×16=23008)

GPUの情報:デフォルトのPower Limitは320W、「MSI AfterBurner」等のOCツールを使えば最大355Wまで引き上げることが可能と読み取れる

AD103のブロック図:ワークステーション向けにNVEncやNVDecが多めに描かれているが、SM数は80基。つまりAD103のフルスペックがRTX 4080 SUPERなのである

 これ以外の設計的な要素は、既存のRTX 40シリーズ(Ada Lovelace)とまったく同じだ。巨大なL2キャッシュを利用した高い描画性能とワットパフォーマンス、さらにDLSS FG(Frame Generation)対応、NVEncはAV1対応でデュアルエンコーダー仕様、などである。16GBのVRAMは特別な強みとは言えないが、これにCUDAやTensorコアが利用できるという要素が、このGPUを“ゲームと生成AIの両方に強い”製品にしている。

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