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ラー博にまつわるエトセトラ Vol.38

あの銘店をもう一度 第28弾 カナダ発の行列店 カナダ・トロント「RYUS NOODLE BAR」

2024年01月31日 10時00分更新

 みなさんこんにちは。2024年の3月に迎える30周年に向けて、これまで実施してきましたさまざまなプロジェクトが、どのように誕生したかというプロセスを、ご紹介していく「ラー博にまつわるエトセトラ」。

 2022年の7月より、過去にご出店いただいた約40店舗の銘店を2年間かけて、3週間のリレー形式で出店していただく「あの銘店をもう一度“銘店シリーズ”」と、2022年11月7日より、1994年のラー博開業時の8店舗(現在出店中の熊本「こむらさき」を除く)が、3ヶ月前後のリレー形式で出店する「あの銘店をもう一度“94年組”」がスタートしました。おかげさまで大変多くのお客様にお越しいただいております。

前回の記事はこちら:
あの銘店をもう一度 第27弾 春木屋1番・2番・3番弟子が集結「春木屋郡山分店」

過去の連載記事はこちら:新横浜ラーメン博物館のウラ話

 あの銘店をもう一度 第28弾は、カナダ発の行列店 カナダ・トロント「RYUS NOODLE BAR」さんです。出店期間は2024年2月1日(木)~2024年3月3日(日)の32日間です。

RYUS NOODLE BARの「鶏白湯ラーメン」

  最初にカナダ・トロントについて簡単に触れさせていただきます。カナダの国土はロシアに次いで2番目の大きさで、その面積は日本の26.4倍に相当します。その中でトロントはカナダで最も人口が多い都市(都市圏で約590万人)です。日本までは約1万km。直行便で約13時間かかります。

 カナダ経済の中心であるトロントは、ほかにもメディア、芸術、映画、観光、スポーツなどの産業基盤が発達しています。観光では「ナイアガラの滝」が世界的に有名な観光地と知られています。

 カナダのラーメンの特徴は日本やアメリカからの進出が多く、バンクーバーやトロントで成功したお店が地方都市に進出する傾向があります。また、ラーメン店のスタイルはNYや欧州のレストラン形式とは違い、日本に近いファストフード形式です。

 現在カナダには150軒前後のラーメン店があり、カナダで最初のラーメン店は1989年に日本からバンクーバーに進出した「えぞ菊」と言われています。

 当時は日本のバブル絶頂期で、日本人企業の駐在員や旅行者がターゲットでした。カナダのラーメン事情が大きく変わったのが2010年で、日本の「山頭火」がバンクーバーに進出した頃からです。この頃、アメリカでは既にニューヨークやロサンゼルスを中心にラーメンブームが起こり始めていました。 

トロントの山頭火行列

 RYUS NOODLE BARの店主、髙橋隆一郎さんは、日本の飲食店で6年間働いた後、2009年にカナダ・バンクーバーへ留学。その後、バンクーバーの飲食店で働き、永住権を獲得。2013年に独立したのを機にトロントへ移住し、RYUS NOODLE BARを開業しました。

髙橋隆一郎さん

 髙橋さんが目指すラーメンは、「本格的な日本のラーメン」と「カナダ人が好む味覚」の融合。人種のモザイクであるトロントでは、さまざまな食文化が存在し、味の嗜好性は北米特有の「バーベキューソース」などに代表される甘味や辛味などの味覚がはっきりしたものが好まれます。

 髙橋さん曰く「甘味は特にカナダ人に愛されている味覚です。しかし単純に砂糖などで甘さを出すのではなく、野菜を中心とした食材が持つ甘味を最大限に生かし、カナダ人の味覚に馴染むように研究を重ね、なおかつ日本人が食べても美味しいと思える味わいを目指しました」とのこと。

地元のお客さんにも愛されるカナディアン鶏白湯

 実際、カナダの料理は比較的甘い味付けが多いのが特徴です。カナダの国旗にも描かれているメイプルは、先住民たちがメイプルの樹液を石のように固いメイプルシュガーと呼ばれる砂糖の塊にして保存し、過酷な冬を生き抜くための貴重なエネルギー源としていました。また、トロントはさまざまな宗教や思想を持った人々が住んでいるため、スープに使う動物系素材には豚を使わず、鶏メインで作っています。

創業店の外観(現在は移転)

 今回の出店に伴い前回出店時の小山店長及び、オーナーの髙橋さんが来日されます。そして味もブラッシュアップされ、RYUS鶏白湯2024として提供されます。

 スープは良質な鶏と野菜を長時間弱火で煮込み、一晩熟成させます。翌日、一気に強火で炊き上げ白湯に仕上げます。長時間かけて抽出した鶏の旨味と野菜ポタージュの甘味、そして凝縮した魚介ダシのコクが調和した鶏白湯は、日本では味わえない独自性に富んだ、まさに"カナディアン鶏白湯"です。

 麺は、スープとのバランスを考え自然な旨味、甘みを出すようミネラル豊富な全粒粉を使用した中細のストレート。出店時よりもやや細くなっています。

 チャーシューは豚バラを使用。他には、水菜、メンマ、白きくらげ、ゴマ、レモンゼストという構成。

 前回出店時に人気だった「自家製メープルバター」はコクと旨味を兼ね備え、味変にピッタリです。

 RYUS NOODLE BARの味が味わえるのは2024年2月1日(木)~3月3日(日)の32日間です。カナダに行かないと味わえない貴重なラーメンですよ!皆様のお越しをお待ち申し上げております。

  そして次回は岩手・久慈から「ラーメンの千草」さんにご出店いただきます。

 出店期間は、2024年3月6日(水)~4月7日(日)となっております。

 今回の出店では三代目が初代の味を再現します。

 お楽しみに!!

新横浜ラーメン博物館公式HP
https://www.raumen.co.jp/

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文/中野正博

プロフィール
1974年生まれ。海外留学をきっかけに日本の食文化を海外に発信する仕事に就きたいと思い、1998年に新横浜ラーメン博物館に入社。日本の食文化としてのラーメンを世界に広げるべく、将来の夢は五大陸にラーメン博物館を立ち上げること。

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