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SLIMの高精度月着陸を実現した三菱電機の技術

2024年01月26日 17時00分更新

 三菱電機は1月26日、同社が宇宙航空研究開発機構(以下 JAXA)から受注し、全体のシステム開発を担当した小型月着陸実証機(Smart Lander for Investigating Moon、以下 SLIM)が、世界初となる高精度月着陸を達成したと発表した。

 SLIMは1月20日0時20分(日本時間)に月面着陸を果たし、着陸後のデータを分析した結果、SLIMプロジェクトの目的として設定されていた誤差100m以内の精度での月面着陸を達成したことが確認された。高精度着陸技術は、「降りたいところに降りる」を実現する技術で、今後の月惑星探査において必要とされる重要な技術とされている。

 三菱電機は2015年度にSLIMのシステム開発をJAXAから受注し、主に鎌倉製作所(神奈川県鎌倉市)でSLIM全体の設計・製造・試験を担当。高精度着陸のために不可欠である「航法誘導制御系」も、JAXAの協力のもとで三菱電機が開発を担当している。

 航法誘導制御系は、カメラ、レーダーなどのセンサー類、計算機およびその搭載ソフトウエアによって構成され、SLIMは自律的に位置・姿勢を推定し、飛行軌道や姿勢を修正。また、航法誘導制御系にはJAXAの開発した画像航法技術(画像航法アルゴリズム、画像航法カメラ)が実装され、SLIMは飛行中に撮影した月面写真をもとにして自己位置を推定。

 三菱電機は航法誘導制御系の要となる統合化計算機および搭載ソフトウエアを開発したほか、着陸レーダーなどのセンサー類の開発・調達を担い、JAXAが開発した画像航法技術と組み合わせて航法誘導制御系を完成させた。今後、三菱電機はJAXAとともに今回の着陸を含めた運用全体の技術評価に取り組むとしている。

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