便利さや快適さとは無縁のハンヴィー
ハンヴィーは軍用車のため実用一辺倒で、便利装備や快適装備は全くと言っていいほど付いていません。カーナビやカーステはもちろんのことグローブボックスも無いし、それどころかドアの内張さえ無く、ダッシュボードも金属むき出しです。
唯一あるのがヒーター。ハンヴィーが砂漠エリアで使われるようになって「暑くて無理~エアコンくれ~」となったのか、既存のハンヴィーに取り付けられるエアコンキットが支給され、のちに標準装備になりましたが、元々はヒーターしかなかったんですよね。暑さ対策として当初用意されていたのはなんと扇風機でした。後付けエアコンとか扇風機とか昭和30〜40年代のクルマかっていう(笑)。
シートも初期はとても簡素なものでした。スチール製のフレームの座面と背もたれ部分に、蛇のようにニョロニョロと曲げられたワイヤーがスプリングとして取り付けられていて、そこに真っ平な四角いクッションが固定されているだけ。これはベトナム戦争のころにジープの後継として採用された小型トラックM151とほぼ同じで、もう60年以上前のデザインです。
リクライニングも無く、調整は前後2段階しかないですし、しかもそうなっているのは運転席のみ。助手席は固定で、リアの2席に至っては折りたたむと背もたれの裏が床になるという、飛行機のCA席や観光バスの補助席みたいな作りです。
シートは改良されました
一度パトロールに出ると何時間も走らなくちゃいけないから、「ケツがイテー」とか「もうちょっと何とかならないの?」みたいな不満の声が結構あったのか、いつごろか正確な時期は知らないんですけど、シートがアップグレードされました。
従来は「座れればいいでしょ」みたいなシートだったのが、スプリングが廃止されてオールウレタンのシートに生まれ変わったんです。ハンヴィーをベースにハマーH1っていう市販車を販売したりしていたので、そこからのフィードバックもあったのかもしれないですね。
このシートは背もたれが頭の部分まであるためハイバックと呼ばれていて、以前のシートに比べて段違いに座り心地も格段によくなり、座面と背もたれは平らではなく少し凹んでいるため、左右のホールド性も上がっています。ウチのハンヴィーに付いているのもこのハイバックシートで、払い下げられた時にはシートが無かったらしく、レストア時にせっかくだからとこっちを取り付けたみたいです。
リニューアルと同時にリアシートの折りたたみ式も廃止され、全席が共通のデザインになりました。ただ、調整機能があるのはやはり運転席だけだし、前後のスライドが10段階になり、上下も無段階で調節できるようになったものの、リクライニングや座面の角度調整のような機能はありません。
まあでもクッションの硬さもいい感じだし、自分的にはこれだけ調整できれば十分です。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります