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VRAM 16GB実装でパワーアップできたか?Radeon RX 7600 XT 16GBの実力検証

2024年01月24日 23時00分更新

AFMFでRTX 4070に迫る性能を見せる

 ここからはアップスケーラー(DLSSやFSR 2)を併用するとともに、Radeon勢はAFMF使用時のフレームレートも比較する。DLSSやFSR 2は全て“バランス”設定で統一し、AFMFは使用時と未使用時それぞれのデータを記載した。

 ただAFMF使用時はRadeon Softwareを通じてしかフレームレートをカウントできないため、以降のグラフはCapFrameX(PresentMon)の計測結果とRadeon Softwareの計測結果が混在するグラフになっている点はご容赦頂きたい。また、AFMS有効時のフレームレートはフレームタイムの生データから算出している。

AFMF有効化はRadeon Software上で行う。今回はFSR 2はゲーム側に任せ、AFMF(と、セットで有効化されるAnti-Lag)のみを手動で有効化した。ゲーム中にShift+Alt+Gキーを押下することで、任意のタイミングでAFMFをオン・オフすることも可能だ

 「F1 23」から試してみよう。画質“超高”をベースに、DLSSやFSR 2は“バランス”とした。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。

F1 23:1920x1080ドット時のフレームレート。RX 7600はシステムごと落ちてしまったため結果なしとなる(以下同様)

F1 23:2560x1440ドット時のフレームレート

F1 23:3840x2160ドット時のフレームレート

 超高設定ではレイトレーシングも含まれるため、AFMFがないとRTX 4070 SUPERやRTX 4070が断然強い。しかし、AFMFを有効にすることで、RX 7800 XTやRX 7700 XTのフレームレートが驚異的に伸びる。RX 7600 XTもAFMFを使えばフレームレートが激増するが、RX 7700 XT程の強烈な輝きはない。

 それでもフルHDでRTX 4070相当のパフォーマンスが出るならば十分な効果といえるだろう。ただし解像度を上げて行くほどにRX 7600 XT 16GBはじりじりとAFMFの効果が下がり、最終的にはRTX 4060 Ti (16GB)と大差ないところまで落ちてしまう。

F1 23:ベンチマーク中におけるTBPの平均値(単位W)、および10Wあたりのワットパフォーマンス(単位fps)

 AFMF有効時はPowenetics v2のデータを取得できないため消費電力やワットパフォーマンスのデータはない。ただPowenetics v2のデータを目視でモニタリングする限り、AFMFの介入で消費電力はほとんど変わらないようだ。

 「Cyberpunk 2077」では画質“レイトレーシング:ウルトラ”をベースに、DLSS/ FSR 2の“バランス”とし、GeForce勢はDLSS FGやRRも追加。GeForce環境はRR(Ray Reconstruction:レイ再構成)も有効としている。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。

Cyberpunk 2077:1920x1080ドット時のフレームレート。

Cyberpunk 2077:2560x1440ドット時のフレームレート

Cyberpunk 2077:3840x2160ドット時のフレームレート

 レイトレーシングの処理が非常に重く、DLSS FGもしっかり効果を発揮するのでRTX 40シリーズが圧倒的に強い。だがAFMFを使えばRX 7600ですらレイトレーシングを効かせて平均90fpsは出せる(ややカクつくが)点は見逃せない。

 ただVRAM 16GBであることのメリットはこのゲームではカク付き抑制に効果はあるものの、さほど重要ではないようだ。RX 7700 XTとRX 7600 XT 16GBの差が大きいという特性も、これまで観測されたデータと合致する。

Cyberpunk 2077:ベンチマーク中におけるTBPの平均値(単位W)、および10Wあたりのワットパフォーマンス(単位fps)

 RX 7600の消費電力を見ると、WQHD→4Kで急激に消費電力が落ちているが、これは4Kの負荷に対しGPUパワーがエンスト気味になっている(GPUの待ち時間が無駄に長い状態)ことを示しているが、RX 7600 XT 16GBではそういった事が発生していない。つまりエンスト気味の原因はVRAM不足にあった、ということを示唆している。

 VRAM消費量が特に多い「BIOHAZARD RE:4」も試してみよう。画質はレイトレーシングを含め画質系はすべて最高、FSR 2は“バランス”に設定。ゲーム序盤で訪れる教会のある村〜次の集落へ続く道を移動した際のレームレートを計測した。

BIOHAZARD RE:4:1920x1080ドット時のフレームレート

BIOHAZARD RE:4:2560x1440ドット時のフレームレート

BIOHAZARD RE:4:3840x2160ドット時のフレームレート

 ここでの注目は最低フレームレートの出かた。RX 7600だとフルHDでも20fps台まで低下してしまうが、RX 7600 XT 16GBだと60fps以上をキープできている。AFMFなし&フルHDでの平均フレームレート差はごくわずかだが、AFMFを併用すると差が一気に拡大する。

 WQHDならAFMFを利用することでRTX 4070にかなり近いパフォーマンスを最高画質設定で達成できる、という点にAFMFの恐ろしさを感じる。4KでもRX 7600 XT 16GB+AFMFで平均60fpsをどうにか達成できるというのも恐ろしい。ただ最低フレームレートの出方に関してはRTX 4060 Ti (16GB)の方が有利なようだ。

BIOHAZARD RE:4:ベンチマーク中におけるTBPの平均値(単位W)、および10Wあたりのワットパフォーマンス(単位fps)

 VRAMが少ないRX 7600はWQHDの時点で消費電力が大きく下がっている。これも前掲のCyberpunk 2077と同様にGPUがエンスト気味になっていることを示唆している。

 「Alan Wake 2」では画質はレイトレーシングも含め全て最高設定とし、DLSSやFSR 2は“バランス”、GeForce勢はDLSS FGも有効とした。プレイヤーが訪れる“ブライトフォールズ”の町において一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。

Alan Wake 2:1920x1080ドット時のフレームレート。

Alan Wake 2:2560x1440ドット時のフレームレート

Alan Wake 2:3840x2160ドット時のフレームレート

 ここでもAFMFを併用することでフレームレートがしっかり伸びる。ただレイトレーシングの処理が重いせいか、CU数の少ないRX 7600とRX 7600 XT 16GBに関してはAFMFを使用しても伸びの限界が低くなってしまっているのが残念だ。このゲームもVRAM消費量が多いが、16GB搭載のメリットが発揮されるのは4Kのみだ。

Alan Wake 2:ベンチマーク中におけるTBPの平均値(単位W)、および10Wあたりのワットパフォーマンス(単位fps)

 VRAMをしっかり載せていれば、超高負荷でも粘れるということが消費電力から説明できる。

 「Starfield」は画質“ウルトラ”に設定し、解像度はデスクトップの解像度変更で対処。DLSSは“バランス”かつDLSS FGも有効に、Radeon勢はFSR 2+レンダースケールにて58%設定(バランス相当)とした。都市マップ“ニューアトランティス”のMAST地区を移動する際のフレームレートを計測した。

Starfield:1920x1080ドット時のフレームレート

Starfield:2560x1440ドット時のフレームレート

Starfield:3840x2160ドット時のフレームレート

 AFMF+RX 7000シリーズよりもDLSS FG+RTX 40シリーズの組み合わせの方が強いということはこれまでの検証でハッキリしているが、Starfieldと下位GPUの組み合わせに関していえば、GeForceとRadeonでそれほど大きな差はない。

 それどころかフルHDではRX 7700 XTがRTX 4070 SUPERに匹敵するフレームレートを発揮。RX 7800 XTはむしろCPU側の要因で頭打ちになっていると考えられる。RX 7600 XT 16GBもRTX 4060 Ti (16GB)よりやや上のフレームレートを出すことに成功している。

Starfield:ベンチマーク中におけるTBPの平均値(単位W)、および10Wあたりのワットパフォーマンス(単位fps)

 消費電力傾向はこれまでとほぼ同じような結果となった。

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