心無いデマに惑わされない、そして拡散しないことが大切
災害時のSNSでの情報収集・発信のコツは「だいふくあまい」
災害時にデマは急増、拡散はNG
元旦に起きた能登半島地震では、「この地震は人工地震」「外国人窃盗団が能登半島に集結」などのデマや、「右腕がタンスに挟まれて動けない」といったニセの救助要請など、さまざまな嘘が拡散された。SNSにおける情報収集や発信のコツ、デマの見破り方を解説したい。
大地震などの災害時はいわゆる輻輳状態となり、電話はほぼつながらない。そのようなときでもインターネット回線を使うSNSは利用できるため、救助要請をしたり、情報収集などに活用できる。
一方で、災害時は不安から情報を求める人は増えるが、そもそも情報が錯綜しており、不確かな情報にも飛びついてしまいやすくなる。そのため、平時よりデマが増えやすくなってしまう。
災害時は、伝聞や思い込みで生まれるデマ、意図的に愉快犯的に広められるデマなど、さまざまなデマが広がる。しかしデマを広めると、周囲を無用に不安がらせるだけでなく、深刻な迷惑につながることもある。たとえば偽の救助要請が拡散された結果、消防や警察の限られたリソースが本当に救助が必要な人のもとに届かないことにもつながりかねない。
SNSでの情報収集のコツは「だいふく」
LINEみらい財団の情報リテラシー教材によると、SNSで情報を取得するコツは、「だいふく」だ。
「だ」は「誰が言っているか」。情報の一次ソースをたどり、発信源が信頼できるかどうか確認しよう。省庁や自治体、メディアなどなら信頼できるが、知らない一般人の場合は、前後の投稿やプロフィールなども確認する必要がある。
「い」は「いつ」。必ず最新の情報かどうか確認しよう。古い情報では結果的にデマとなってしまうことも。
「ふく」は「複数」。複数の信頼できる情報源が発信していれば、その情報は信じるに値すると考えられる。
写真や動画が付いていても、過去のものを転用していたり、加工されていたりすることも。画像検索をして過去にも投稿されている写真だった場合は、デマの可能性がある。テキストは、検索すればコピペとわかることもある。
調べてもその情報が本当かどうかわからない場合は、少なくともシェアなどはしないこと。信じて行動しないことも大切だ。
SNSでの情報発信のコツは「あまい」
同様に、SNSで情報を発信するコツは、「あまい」だ。
「あ」は「安全」。自分が安全な状態で発信すること。「ま」は「間違った情報にならないか」。「い」は「位置情報を活用しているか」だ。位置情報を付けるほか、場所の特定などにつながる写真を添付するのも有効だろう。
切羽詰まったときには、Xなどで救助要請しよう。ただ、その後も名前や住所などがネット上に残ってしまうことが不安な場合は、LINEやFacebookなどで信頼できる友達限定で救助要請を依頼するという方法もありそうだ。
災害はいつ起きるかわからない。この機会に、親子で災害時の情報収集・発信のコツやデマの見分け方について話し合うといいのではないだろうか。
著者紹介:高橋暁子
ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki
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