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Core i9-14900/Core i7-14700/Core i5-14400/Core i3-14100/Intel 300をまとめてレビュー

第14世代にもKなしが登場!Core i9-14900からIntel 300まで5製品を一気に斬る

2024年01月11日 08時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

予想通りの性能差

 定番の「CINEBENCH 2024」から検証はスタートだ。10分のウォームアップを経てスコアーを出すモードで計測している。

CINEBENCH 2024:スコアー

 上に第14世代、下に第13世代とまとめている。第14世代同士で比較すると、KなしはKつきに比べて微妙にスコアーは低めに出る。第13世代vs第14世代のKなしで比較すると、クロックが上がったぶん確実に第14世代のほうが速いが、その差はごくわずか。例外として、新旧Kなし比較ではCore i7-14700だけが大きく性能を伸ばしているが、これはEコアが増量されたことによるものだ。Intel 300もPentium Gold G7400に対しマルチスレッドで約1.4%スコアーを上積みしたにすぎない。

 第13世代のKなしモデルも旧世代からの差分が小さいことがわかっている。第14世代も1モデルを除けば、旧世代のクロックを1〜2bin引き上げて出し直したようなものだ。第12世代からの乗り換えはPコアがGolden CoveからRaptor Cove(この差は結構大きい)に変わっているのでメリットはそれなりにあるが、第13世代からの乗り換えは、コア数が増えるようなアップグレードパスでない限り非常に残念な結果に終わるだろう。

 Intel 300に関しても手頃さでは魅力的だが、今の時代2C/4Tはもうないな……と言える。YouTube視聴やOffice専用マシンのためにコストを圧縮したいなら別だが、汎用的な用途であれば最低でもCore i3-14100をオススメしたい。

MTP 219Wでも性能に大差はなし

 ここからはクリエイティブ系処理におけるパフォーマンスを見ることにする。まず「UL Procyon」から“Photo Editing Benchmark”で試してみよう。「Photoshop」「Lightroom Classic」を実際に動かしてパフォーマンスを見るテストだ。総合スコアーの他に、テスト別のスコアーも比較する。

UL Procyon:Photo Editing Benchmarkのスコアー

UL Procyon:Photo Editing Benchmarkのテスト別スコアー

 KなしのほうがKありより若干スコアーが高い部分があるが、スコアーのブレ幅の関係で性能が近すぎるとこんな感じで簡単にひっくり返る。ただ、総合スコアー的にはKあり>Kなしであり、Core i9>i7>……という順当な序列に収まっている。そして第14世代のKなしはギリギリ第13世代を上回る。Eコアの増えたCore i7-14700はCore i9-13900に肉迫したが、上回ることはできていない。

 下位モデルに目を向けると、Core i5-14600KとCore i5-14400の間に大きなギャップが出ている。前述の通り今回Core i5-14500の貸し出しがなかったため性能差が強調された感じだが、Core i5-14400以下はAlder Lake-Sベースであるため、性能の出方がCore i5-14600K以上とは異なって当然といえる。

 続いては「Handbrake」で動画エンコード性能をテストした。再生時間約3分の4K/60fps動画に対し、Handbrakeプリセットの「Super HQ 2160p60 4K HEVC Surround」(H.265)および「Super HQ 1080p30 Surround」(H.264)を利用してエンコードする時間を比較する。

Handbrake:H.265とH.264のエンコード時間

 CINEBENCH 2024で速いCPUはここでも速いという結果ではあるが、計算量の多いH.265では下位モデルの計算時間が爆発的に長くなる。Core i7-14700だと30分以内で収まるような処理が、Core i3-14100では約90分、Intel 300に至っては約210分に長くなる。

 どこでエンコード時間が大きく伸びるかを見ると、やはりCore i5-14400、Core i5-14600Kのそれぞれ上と下に見えない壁がある。よって(Handbrakeの結果だけを見れば)Core i7-14700より上がこういう用途には好適といったところか。

 同じ動画系だが、AIを利用して動画に様々な処理を施す「Topaz Video AI」のベンチマーク機能を試してみよう。入力解像度は1920×1080ドットを指定し、結果はフレームレート(fps)で示される。多数のテストを行うが、GPU性能に依存しやすい“Artemis”と、CPUもある程度使う“4x Slowmo”の結果を比較する。AI処理プロセッサーにはGPU(RTX 4080)を指定している。

Topaz Video AI:Artemisを使った処理のフレームレート。1X、2X、4Xとなるに従い重くなる

Topaz Video AI:4X Slowmo処理のフレームレート。ApolloとChronosの2種類があり、それぞれ重いものと軽いもの(Fast)がある

 まずArtemisはGPUへの依存度が高いためCPU性能は関係ない……と思っていたが、予想外にIntel 300とPentium Gold G7400が飛び抜けて速い。これはこの2つのCPUはPコアのみで構成され、さらにTurbo Boostもないため、常時高クロックで回っているためと考えられる。それ以外のCPUだとベースクロックが低めに設定されるため逆に遅くなってしまうのではないだろうか。

 ただし4X Slowmo(ApolloとChronos)に関してはある程度CPUパワーを使ってくれるため、上位GPUほどしっかり高速化する。KなしのCore i5とi3では、結果が逆転していたり(第14・第13世代それぞれで起こっている)する。

 AI処理が出たので先ほどのUL ProcyonでもCPUを利用した推論処理のパフォーマンスを見てみよう。テストは“AI Inference for Windows”を使用する。APIはWindows ML、デバイスはCPU、精度はFP32を選択した。

UL Procyon:AI Inference for Windowsにおける総合スコアー

UL Procyon:上のグラフの結果を出した際の、AIモデル別の推論回数。数が多いので見やすい部分を抜粋した

 結果としてはこれまで観測されてきた結果と傾向は変わらない。上位のモデルは、クロックが高いぶん第13世代よりも第14世代のKなしモデルのほうがスコアーや推論回数が多い傾向にあり、KなしよりもKつきモデルのほうが良い結果を出している。一方で、Alder Lake-SベースのCore i5-14400以下のモデルだと、Core i5-14600K以上のCPUに比べて推論回数が急激に減っていることがわかる。

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