ポストカードに印刷された2024年の干支でもある「龍」のイラスト。ふつうのポストカードと何が違うか、わかるだろうか?
じつはこのイラスト部分、立体印刷されているのだ。
3D技術をつかった、この立体ポストカードを制作しているのは、「ニシムラ精密地形模型」という企業。
同社は企業名のとおり、「3Dデータ」を実際に触れられる精密な「模型、レプリカ」にし、魅力あふれる&インパクトのある製品を製作、提供している。
今回は、このインパクト抜群な3Dポストカードを制作した同社を取材してきた。
地図の技術をもとにした精密な3D印刷
これまで同社は、立体地図・立体模型をはじめとした制作物を数多く手掛けている。
たとえば、下図は日本地図のカレンダーだが、これもただのカレンダーではない。よく見てみると、陸地(日本全体)だけでなく海(海峡部分)まで詳細に印刷されている。
同社代表取締役の大道寺氏によると、陸地部分が立体的な地図は市場にあるが、海峡まで精密に再現した地図はなかなかないそう。
また地図上の凹凸部は、標高データはじめ、3Dデータ計測、取得、生成、モデリング等を一貫して行っているため、非常に精度も高くなっているそうだ。
拡大してみると海峡のゴツゴツ感まで、いかに精密に地図が作られているのかが分かる。
またこの立体カレンダーはいくつかの立体物をつなげて制作している。というのも、陸地部分と海図部分はデータが違うため、それを個々に印刷し、つなげ合わせてひとつの地図模型として制作しているということだ。
同社は日本地図のほかにも、2500万の1スケールで立体印刷された世界地図、航空写真測量データから建物データ・地形データを抽出、取得したスカイツリー周辺模型など、依頼に応じて様々な立体物を制作している。
このような精密な模型等の印刷技術に裏打ちされて制作されたのが、今回の3Dポストカードとなる。
子どもだけでなく大人も心躍る作り
ポストカードの種類は、龍をはじめ、恐竜(左下はエラスモサウルス)、立体の富士山周辺地図が印刷されたポストカードなどじつに豊富。
技術としては真空成形を用いているという。真空成形は自動販売機の飲み物サンプルなどで使われている技術だが、模型などの企業でワンストップで制作しているのが、同社の強みだという。
原型モデルをもとに作っている立体ポストカードだが、最初は真っ白な状態。これに塗装や仕上げを施し、12枚1セットで出力されたものを裁断し、完成品となる。
同社では、3Dというデジタル技術を用いているが、アナログ技術(塗装、造形技術者の感性による芸術的仕上げ)も大事にしているという。実際、手にとったときの立体の感触を味わえるのはとても良い感じ。
大道寺氏は将来的には、立体イラストの部分を切り取れるようにして、コレクションとしても保存できるようにしたいと語っていた。
たしかに、どんどんラインアップが追加されていくことで、手紙を送ることに加えて、“立体ポストカードを集める”という楽しみもプラスされるのではないだろうか。
ポストカードは現在、Amazonで取り扱っているが、販路が拡大されていくことで、どんどん知名度も広がっていきそうだ。
コレクション欲を刺激しそうな本商品。今後も改良を重ねていくそうなので、注目していきたい。
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