Epic Gamesにとっても重要な戦略的タイトル
もともと、レゴとEpic Gamesは2022年4月に、安全でポジティブに楽しめるメタバースの開発をするということで戦略的提携を結んでいるんですよね。
レゴを使ったIPのゲームは子供向けタイトルとして、すごく安定的に売れていています。例えば、2022年に発売された「レゴ スター・ウォーズ/スカイウォーカー・サーガ」は発売から2週間で320万本を売上げ、3ヵ月後には500万本を売り上げています。ワーナーゲームがバットマン、ハリー・ポッターなどの有名映画シリーズと組み合わせて毎年のように新作をリリースしています。
けれども、レゴをモチーフにしたメタバース系の作品はなかったんですよね。ロブロックス(ROBLOX)のようにレゴっぽいデザインのメタバース系ゲームがブームになってしまう中、自分たちがメタバース系に乗り込めてないというジレンマがあった。そこでエピックとの提携を選び、ついに出てきたのがこのレゴ フォートナイトだったというわけです。
一方、Epic Gamesにとって課題になってきたのはフォートナイトに続く売上の柱を築くことでした。Epic Gamesの強みは自分たちでゲームを作り、収益を出せるところだったんですが、フォートナイトのブームも永遠に続くとはいえず、新しいヒット作を模索する必要がありました。特に、最近はApp Storeの手数料をめぐってアップルとグーグルと裁判をしていて、事実上ストアで販売できない状態が続いています。フォートナイトの売り上げの中心の1つがスマホだったりも変わらず、その売り上げが断たれている状況が続いています。
この状況下、Epic Gamesは9月に社員の16%、830人を対象とした大規模リストラをしています。営業系やコミュニティ運営に関わっていた人たちが中心とされていますが、日本でもフォートナイトの顔として活動していた人が対象となりました。背景には、フォートナイトの売上に多くを依存していたために、売上の低下によって限界に直面したと推測されています。
さらに来年以降、Unreal Engine 5のライセンス価格改訂が検討していることが明らかにされています。これはすでにライセンス体系のあるゲームではなく、映画やテレビ番組の映像などの非ゲーム分野でのライセンス料が現在、実質的に無料であることから、そこから費用を徴収しようとする方針のようです。ただ、ゲームエンジンの新料金を発表してゲーム開発者たちから反発を受けたUnityのようになるリスクもあるため、かなり慎重に発表すると思われます。時期的には3月のGame Developers Conferenceで発表される可能性が高いです。
そんななか、Epic Gamesが現在も強調しているのがメタバース路線です。フォートナイトを中心にオンラインコミュニティという意味でのメタバース系のタイトルを広げて収益の柱にしていこうという姿勢は鮮明です。年末にレゴ フォートナイトという目玉を用意していたからこその強気の姿勢だったのだと合点がいきました。
実際の反響はどうかというと、ローンチ直後に230万人を超える同時アクセス者数を記録するヒット作になっています。記事執筆時点でも、アメリカでは深夜の時間帯にもかかわらず30万人ぐらいのユーザーが同接しています。いわゆるバトルロイヤル系の同接が50~60万人程度で、その半分くらいのアクセス数を獲得しているので、非常に成功していると言っていいんじゃないでしょうか。
ゲームボリュームは、早い人だと1日でクリアもできるようですが、数日は十分に遊べます。もちろん、クリア後に多数のアイテムを使って自分の世界を作り始めると、永遠に遊べるようになります。すでにそういうコンテンツは多数作られており、Redditの専門スレッドでは多数のユーザーが作成した、建物や乗り物などのスクリーンショットや動画が投稿されています。
レゴは子ども向けにもわかりやすく、バトルロイヤルに比べて誰かを殺したりということもないため、幅広い層に受け入れられたというところではないかと。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります