写真はイメージ Dovile Ramoskaite | Unsplash
『貧困女子の世界』(中村淳彦 編著、宝島SUGOI文庫)の著者は、風俗関連、貧困、介護に至るまでの現場を取材し続けてきたノンフィクションライター。本書は、2020年2月から翌年5月までの間に発売された3冊の「貧困女子」関連書籍を改訂し、再編集したものである。
したがって取材対象も幅広く、非正規女子、シングルマザー、高齢者など、さまざまな貧困女性の“現実”が明かされている。どれもがショッキングで生々しいため、読んでいるとつらい気持ちになってくるのだが、とくに気になるのは第二章「女子大生の貧困世界」にかなりのページ数が割かれている点だ。
つまりはページを割く理由があったということだが、問題は、そこで明らかにされている“異常性”の本質である。
他の章に登場する女性のなかには、「こんなに簡単に、そっちの道を選んでしまうのか」と驚かされるタイプも少なくない。たとえば、「整形手術の借金を返すため、実家にパラサイトしたままエステで働き続けている」など。それは自分が選んだ生き方でもあるわけなので、純粋に「気の毒だなぁ」と思えない部分があることも否定できないわけだ。
ただし、ここで紹介されている女子大生たちの場合は、そういう人たちとは事情が異なっている。著者の過去の著作を読んだときにも感じたことなのだが、現代社会そのものが異常で、彼女たちはその犠牲になっていると痛感せざるを得ないのだ。
繁華街のガールズバーや価格が高めのデリヘルでは、難関一流大学に籍を置いている多くの現役女子大生が働いているという。しかしそれは「整形手術の借金を返すため」というような理由によるものではなく、「そうするしかない」からであるようなのだ。
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貧困女子の世界 (宝島SUGOI文庫) |
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