Apple Vision Pro
「耳を塞がない高音質ワイヤレスヘッドホン」
2023年は「耳を塞がない」でオーディオが聴ける、開放型ワイヤレスイヤホンが流行しました。筆者は今年、ある耳を塞がないタイプのオーディオと出会い、大きな衝撃を受けました。アップルの空間コンピュータ「Apple Vision Pro」です。
筆者はアップルが6月に開催したWWDC 23で、本機のサウンドを体験しました。Apple Vision Proを装着すると、左右の耳のすぐ上のあたりにデュアルドライバー搭載の「オーディオポッド」が鎮座します。耳を塞がない装着スタイルでありながら、3DビデオやFaceTimeビデオ通話の空間オーディオをとても力強く明瞭に描きます。体験した瞬間、Apple Vision Proは「アップルによる初の耳を塞がない高音質ワイヤレスヘッドホン」でもあることを確信しました。
Apple Vision Proは本体に内蔵するカメラとセンサー、超高解像度のディスプレイシステムにより、現実世界に迫る高精細でシームレスに応答するパススルー表示を実現します。耳を塞がず、周囲の環境音やまわりにいる家族の声などにも注意を向けながら、Apple Vision Proでビデオ通話をこなしたり、動画ニュースをチェックする用途には「耳を塞がない」スタイルが最適です。
反対にApple Vision Proで映画を観たり、ゲームを楽しむ際には遮音性能の高いイヤホンを併用して、オーディオもパーソナルに楽しめる環境がほしくなります。アップルは第2世代のAirPods Pro(USB-Cタイプ)をApple Vision Proとペアで使うことにより、ワイヤレスによる超低遅延のロスレスオーディオ再生を可能にする技術をつくりました。ふたつのデバイスが搭載するSiPの「Apple H2」チップが何らかの形で協調動作することにより、Apple Vision Proが本体に搭載するオーディオポッドと同等に高品位なサウンドを「耳を塞ぐ」スタイルで楽しめそうです。
それぞれのデバイスの間でオーディオ信号をワイヤレス伝送する際にはBluetoothではなく、シアターやゲーミング用のサラウンドヘッドホンなどにも多くの採用実績があり、Wi-Fiにも使われるデジタル無線接続の技術が絡んでくるといわれています。2024年にApple Vision Proが発売を迎える頃に、また真相を深掘りしたいと考えています。
何はともあれ、2024年はワイヤレスイヤホン・ヘッドホンにもデジタル無線接続の技術が拡大すると筆者は予想します。ハイレゾ級の高音質、低遅延などワイヤレスオーディオ再生に多くのメリットをもたらす技術の最新動向に引き続き要注目です。
製品ジャンル | ワイヤレスイヤホン | 空間コンピュータ |
---|---|---|
メーカー | ソニー | アップル |
製品名 | INZONE Buds | Apple Vision Pro |
価格 | ソニーストア直販価格2万9700円 | 3499ドル(日本の価格と発売時期は未定) |
形式 | 密閉 | 開放 |
ドライバー | 8.4mm口径 ダイナミック型 | デュアルドライバー搭載のオーディオポッド |
ワイヤレス | デジタル無線2.4GHz帯/Bluetooth LC3 | 非公開 |
連続再生時間 | 約11時間(USBトランスミッター使用/NC ON) | 外部バッテリー接続時に最大2時間 |
質量 | 約6.5kg(イヤホン) | 非公開 |
筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。
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