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2023年、とても刺激的だった「2つの新選オーディオ」

2023年12月22日 19時00分更新

デジタル無線接続による低遅延のワイヤレスオーディオ伝送を実現したソニーの「INZONE Buds」

 2023年も先進的なオーディオ製品が数多く誕生しました。筆者が注目した製品を振り返りながら、2024年につながるポータブルオーディオのトレンドを予想してみたいと思います。

ソニー「INZONE Buds」
荒削りなところも含めて魅力的だった

 2023年のオーディオ製品の中では、ソニーの「INZONE Buds」がとりわけユニークでした。10月27日に発売された、ソニーのゲーミングブランド「INZONE(インゾーン)」の左右独立型ワイヤレスイヤホンです。価格はオープンですが、ソニーストアの直販価格は2万9700円です。

 本機はソニーのワイヤレスイヤホン/ヘッドホンのフラグシップである「1000Xシリーズ」の音づくりや、アクティブノイズキャンセリングと外音取り込みの技術を継承する実力派です。でも、かたやスマホにタブレット、パソコンとのBluetoothオーディオの接続が「LE Audio限定」という大胆な仕様。ステレオ収録されているゲームの音声信号を立体サウンドに変換する「360 Spatial Sound for Gaming」にもせっかく対応しているのに、今のところその機能がWindows PCでしか使えません。設定用のソフトウェア「INZONE Hub」がWindowsオンリーだからです。

 若干荒削りな部分もありますが、それを補ってあまりあるほど「付属するUSB-Cトランスミッターによるデジタルワイヤレス・リスニング」が快適で魅力的です。

 ようやくUSB-Cを搭載したiPhone 15 Proを含む、USB-C搭載のスマホやパソコンとの接続切り替えが驚くほどに簡単。送信側デバイスにUSBトランスミッターを付けかえるだけで、音楽リスニングやハンズフリー通話を素速くスイッチできます。Bluetoothのようにペアリングを失敗することも、筆者が試した限りではありませんでした。

 例えばAirPods ProもiPhoneとMacなど、ユーザーのApple IDでサインインしているアップル製品どうしであれば、接続先のデバイスを素速くスイッチできます。一方でAirPodsシリーズは、AndroidやWindowsのデバイスも混在する環境で使う場合、やはりペアリングの再設定が必要です。INZONE BudsならUSBトランスミッターを差し換えるだけ。筆者はiPhoneとAndroidスマホを併用しているので、とても便利で快適でした。

コンパクトな充電ケースで、左右のイヤホンとUSBトランスミッターの両方が一度にチャージできます

 イヤホンとUSBトランスミッターの間は2.4GHzデジタル無線接続なので、一般的なオーディオコーデックによるBluetooth接続よりも音声信号の遅延が格段に少ないことも特徴です。モバイルゲームを楽しむ際に有効ですが、USB-Cを搭載するiPadでGarageBandなどのアプリによる音楽制作をする方にもINZONE Budsはおすすめです。タップして弾いた鍵盤の音が遅れることなくワイヤレスイヤホンから聴こえてきます。

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