DSD方式のハイレゾ音源
もうひとつのDSD(Direct Stream Digital)とは、音楽信号を1bitの疎密波として記録する方式です。元はCDを超える高音質ディスクフォーマットとして登場したSuper Audio CD(SACD)の記録フォーマットに採用されたDSDが、インターネットで高音質&大容量なハイレゾ音源がダウンロード購入できる時代の到来とともに、再び脚光を浴びました。
DSDはPCMに比べて滑らかな質感を備え、生音に近い自然な表現力に長けているとも言われています。一方ではPCM方式の音源よりもファイルのサイズが大きくなりがちです。また、DSDの音楽ファイルからDSD信号を取り出してそのまま再生する「DSDネイティブ再生」がPCやスマホでは困難だったり、そもそもアーティストがDSDネイティブの音源を録音・制作できる環境が限られています。そのため一般にPCM系のハイレゾ音源の方が広く普及しています。
ポータブルオーディオプレーヤーの中にはDSDの信号をPCMに変換して再生できるデバイスも多くあります。
スマホとの2台持ちに最適なハイレゾプレーヤー「M0Pro」
ダウンロード購入したハイレゾ音源は、ハイレゾ対応の音楽プレーヤーアプリをスマホに入れて聴くこともできます。筆者はユーザーインターフェースの操作性が高く、moraなどミュージックストアからのインポート機能などが充実しているラディウスの「NePLAYER」というアプリを愛用しています。
今回のテーマである、単体のポータブルオーディオプレーヤーによるハイレゾ再生の場合、PC等でダウンロード購入した音源ファイルを転送・保存するだけで、よりシンプルに音楽を聴くことができます。スマホのように、別途ハイレゾ対応音楽プレーヤーアプリを導入する手間も不要です。
筆者が普段使っているSHANLINGの「M0Pro」(直販価格1万9800円)は、PCMが最大384kHz/32bit、DSDは最大5.6MHz(DSD128)のファイルがネイティブ再生できる幅広い互換性を備えています。M0 ProのストレージはmicroSDカードです。PCからのファイルの取り込みはmicroSDカード経由で簡単にできます。
M0ProにはWi-Fi等により、インターネットに接続して音楽配信サービスのコンテンツをストリーミング再生する機能はありません。そのぶん、音質の妨げにもなる電波通信によるノイズの干渉を受けないので純度の高いサウンドが楽しめます。
ハイレゾ対応のオーディオプレーヤーとスマホの「2台持ち」で音楽が聴ける環境をわざわざ作る意義は、大きく2つあると筆者は考えます。
ひとつはスマホで音楽を聴くために消費するバッテリーの負担を、オーディオプレーヤーの側に思い切り振れることです。M0Proは縦横約4.5cmのコンパクトなボディに650mAhのバッテリーを内蔵。最長14.5時間の連続音楽再生に対応します。
もうひとつはサブスク型の音楽配信サービスは不要、好きなアーティストの楽曲だけをいい音で繰り返し聴きたい方にはオーディオプレーヤーをおすすめします。M0ProにはスマホやPCとUSB OTGケーブルで接続してUSB-DACとして使ったり、Bluetoothオーディオの高音質コーデックであるLDACによる送信機能もあります。質量が36.8gと、一般的な完全ワイヤレスイヤホンの充電ケースなみの軽さなので2台持ちの負担も少なめ。直販価格も1万9800円と手頃なので、ダウンロード音源で聴くハイレゾの魅力を知るためにも最適な選択肢です。
製品ジャンル | ポータブルオーディオプレーヤー |
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ブランド | SHANLING |
製品名 | M0Pro |
直販価格 | 1万9800円 |
音声対応形式 | 最大384kHz/32bitまでのPCM、DSD128(5.6MHz) |
DAC | ESS ES9219C×2 |
出力 | 3.5mm/4.4mm(別売アダプタ使用) |
ストレージ | microSDカードスロット×1(最大2TB) |
Bluetooth | LDAC/aptX/AAC/SBC(送信)/LDAC/AAC/SBC(受信) |
連続再生時間 | 約14.5時間(シングルエンド)/約10時間(バランス) |
外形寸法 | 43.8W×45H×13.8Dmm |
質量 | 約36.8kg |
筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。
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