Macによるゲーム体験の進化が止まらない! アップル担当者に聞く「シリコンとOSの技術革新」
2023年はアップルが独自に設計するAppleシリコン「Apple M3」を発表。さらに11月7日にはこれを搭載する新しいMacBook Proを発売したことが大きな話題になりました。秋には最新のmacOS Sonomaも提供を開始しています。
Appleシリコン搭載のMacとmacOS Sonoma以降を組み合わせた環境で、あらゆるゲームコンテンツが快適に楽しめる「ゲームモード」という新機能があります。加えてApple M3チップにはグラフィックス処理の中核を担うGPUに大きな負荷がかかるゲームコンテンツをサクサクと動作させる「Dynamic Caching(ダイナミック・キャッシング)」という新たなメモリー制御の仕組みが導入されました。ふたつの進化が重なる時、Macによるゲーム体験はどう変わるのでしょうか?
今回はMacのゲーム体験に関わる最新技術について、アップル本社の責任者3名の方々に詳しく聞ける機会を得ました。インタビューに応じてくれたのはMac Product Marketing担当のゴールデン・ケッペル氏とダグ・ブルックス氏、GPU Software Product Marketing担当のレランド・マーティン氏です。
macOSの新機能「ゲームモード」がプレイ環境を自動最適化
macOS Sonomaには「ゲームモード」という新機能が加わりました。Appleシリコン搭載のMacで、ゲームをフルスクリーン表示にするとゲームモードが自動でオンになります。メニューバーにはゲームモードが有効化したことを知らせるゲームコントローラーのアイコンが目印として表示されます。
マーティン氏はMacのゲームモードの特徴を次のように解説しています。
「macOS Sonomaでは、ゲームモードの実行に合わせていくつかの処理をします。ひとつはAppleシリコンのCPUとGPUのパフォーマンスをゲームアプリに対して最優先で割り振り、同時にバックグラウンドタスクによる使用を最小限まで抑えます。その効果として、ゲームモード時には一層なめらかで安定した映像表示が実現され、応答速度も向上します」
もうひとつの処理はゲームモードがオンになると同時に、Bluetoothで接続するワイヤレスゲームコントローラーとワイヤレスオーディオの使い勝手がさらに良くなります。さらにマーティン氏の解説が続きます。
「ワイヤレスゲームコントローラーの場合、BluetoothによるMacへのポーリングレートを約2倍に高めることにより、入力操作に対する遅延を約半分に下げます。ワイヤレスオーディオは、MacにペアリングしたアップルAirPodsシリーズによる音声信号の伝送の遅れを改善します。ゲームの映像、コマンド入力操作に対するオーディオの“もたつき”を感じることなく、ゲームの世界に心地よく入り込めます」
マーティン氏はゲームモードの有効性を最も鮮やかに体感できるゲームタイトルのひとつに、2023 App Store Awardsの“ベストMacゲーム”部門を受賞した「Lies of P」を挙げています。
ゲームデベロッパーにとってのメリットは、それぞれのコンテンツをmacOS Sonomaに対応させるだけで別途ゲームモードに関わる最適化を図る必要がないことです。
また、デベロッパーはアップルの「Game Controller フレームワーク」を活用すれば、ゲームコントローラーにレーシングホイール、スティックリモコン、キーボードやマウスなど幅広い周辺機器にアプリを対応させることが可能になります。
ゲームを遊ぶプレーヤーにとっても、「Macのゲームモードに対応するワイヤレスリモコン」を探すことに奔走する手間から解放されます。それだけではありません。ゲームタイトルによってはコントローラーが搭載するハプティクス(触感)やモーションセンサー、スクリーンショットにゲーム映像のビデオ録画などの機能も、Macによるゲーミング時に楽しめます。
例えばソニーの「DualSense ワイヤレスコントローラー」をMacに接続して、コントローラー特有の機能であるアダプティブトリガーやハプティックフィードバックを連動させることもできます。ただし、ゲームモードがオンの状態でゲームコントローラでの入力操作の遅延は低減されるものの、ハプティクフィードバックの振動などに遅延が残る場合があるようです。
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