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画像生成AI「Stable Diffusion」を爆速化。秒単位で美少女を生成できるLCM系ツールを使い比べた

2023年12月13日 09時00分更新

本家の高速生成「SDXL Turbo」を試す!

SDXL Turbo(Hugging Face)

 11月29日にStability.aiより登場した「SDXL Turbo」は高速生成が売りのモデルだ。

 こちらはLCMではなく、「ADD(Adversarial Diffusion Distillation:敵対的拡散蒸留)」と呼ばれる技術が採用されているそうだ。すでにHugging Faceでモデルが公開されているので試してみよう。

Hugging Faceからダウンロード

 「sd_xl_turbo_1.0.safetensors」の右の「↓」をクリックしてダウンロード。およそ14GBもあるのでのんびり待とう。保存先は「\stable-diffusion-webui\models\Stable-diffusion」以下だ。

 なお、「sd_xl_turbo_1.0_fp16.safetensors」はおよそ7GBの軽量モデルとなる。

 モデルを読み込んだらさっそく生成してみよう。プロンプトは「1 girl」、解像度は512 x 512、推奨Sampling Step数はなんと「1」、CFG Scaleは「1.5」とした。

 生成時間はなんと、1秒を切ってたったの0.7sec(くどいようだがRTX4070 12GB)。

 正直アラは目立つが、用途によってはじゅうぶん使えるだろう。

 気になるようであればStep数を4〜5あたりまで上げるとよい。生成時間もさほど変わらない。ただし解像度をSDXL標準の1024 x 1024にすると見事に破綻した。

LoRA版「SDXL Turbo Lora」も試してみた

sd_xl_turbo_lora(Hugging Face)

 さらに「SDXL Turbo」の「Turbo」の部分をLoRA化した「SDXL Turbo Lora」も登場しているので試してみた。

 SDXL Turboと全く同じ設定(Seed値含む)で生成してみたが、Step数1では少し厳しいようだ。

 そこでStep数を3に変更。生成時間が0.7秒から1秒にわずかに伸びたが、この程度なら問題ないだろう。

 画風にもよるがStep数7あたりが適正値かもしれない。それでも生成時間はわずか1.6秒だ。

Fooocusもさっそく実装

 実装の速さには定評のある「Fooocus」もさっそくLCMを活用したと思われる新機能を追加していた。

 使い方は相変わらず簡単。プロンプト入力欄の下の「Advanced」にチェックを入れる。

 そうしたら「Performance」をデフォルトの「Speed」から「Extreme Speed」に変更するだけだ。後はデフォルトのままプロンプト「1 girl」で生成。

 Step数は8、生成時間は5.89秒と少し長めだが、解像度1152 x 896でも破綻なく生成できているようだ。

本命は動画生成

 以上、LCMとSDXL Turbo、およびそのLoRAバージョンをいくつか試してみた。確かに1秒を切る高速な生成速度は魅力だが、絵のクオリティーとトレードオフになっているため、仕上がりにこだわる人にはあまり向いていないかもしれない。

 逆に、多少の矛盾点は気にならないけど、とにかくたくさん画像を生成したいという人にとってはかなり効率が上がるのではないだろうか。

 また、高速でガチャを回して気に入ったものをベースにimage 2 imageやPhotoshopなどで修正をかけて仕上げていくという使い方もありだろう。

 だが、高速化の恩恵を最も受けるのは、画像生成ではなく動画生成の分野だろう。現にこの技術を応用し、リアルタイムに画像を生成、動かせる技術も次々に登場している。

 次回はそちらの方を試してみるつもりだ。

田口和裕(たぐちかずひろ)

 1969年生まれ。ウェブサイト制作会社から2003年に独立。雑誌、書籍、ウェブサイト等を中心に、ソーシャルメディア、クラウドサービス、スマートフォンなどのコンシューマー向け記事や、企業向けアプリケーションの導入事例といったエンタープライズ系記事など、IT全般を対象に幅広く執筆。2019年にはタイのチェンマイに本格移住。
 新刊:7月19日発売「ChatGPT快速仕事術」、好評発売中:https://amzn.to/3r6ASOv

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