ここに来て、冬がやってきたような寒さとなっている。日本と中国では天気が連動することが多いので、日本が寒くなれば中国も寒くなる。そんな中国に早くも寒波が襲来。中国北部では真冬はマイナス20度、ときにマイナス30度を超える寒さになることもあるので、冬自体はこれからが本番だが、早くも寒さによる問題がSNS上で話題になり始めた。中国の厳寒環境下におけるIT製品まわりの話を紹介しよう。
EVの普及が進む中国だが、寒冷地ではそうも行かない
スマホもバッテリーの保ちが悪くなる傾向があった
中国でも特に寒いと言われる、遼寧・吉林・黒竜江の東北三省だけでも人口は1億人いる。こうした地域で話題になるのが、中国で普及が進むEV。厳寒時にバッテリーの保ちが悪く長距離を走れないとか、収納式のドアハンドルが凍って取り出せないといった問題が伝えられる。そのため他の地域に比べるとEVが使われず、ガソリン車を支持する声がある。
寒い環境でバッテリー保ちが悪くなるのはEVに限った話ではない。アスキー読者ならご存じだろうが、スマートフォンなどのバッテリー内蔵の機器でも同様に発生する。たとえばアップルのサイトには、
「iOSデバイスやiPadOSデバイスは周囲の温度が0℃~35℃の場所でお使いください。(中略) 動作温度を下回る極端な低温下でiOS/iPadOSデバイスを使うと、バッテリーの消耗が一時的に早くなったりデバイスの電源が切れたりすることがあります」
という注意書きがある。たとえば、黒龍江省・ハルビンでの氷祭りで動画配信しようとたらシャットアウトしたという声や、WeChat PayやAlipayで支払いをしようとしたり、地図アプリで現在地を確認しようとしたら、同じくシャットアウトしたといった声をいくつも目にする。
モフモフ素材のiPhoneケースで寒さ対策
中国メーカーは寒さで動作する点を動画でアピール
そうはいっても中国でも人気のiPhoneだ。現地のライフハックとしては、毛糸系のもふもふとした素材でかつ通気性のあるスマホケースを導入したり、スマホ用に使い捨てカイロを活用するといった手法があるようだ。ただし、最近の機種であればバッテリーが改善されており、厳しい寒さでもシャットダウンしないという実験結果も出ている(後述)。
では、シャオミ、OPPO、vivo、Honor、ファーウェイといった、いわゆる中華スマホメーカー/ブランドはどうかというと、近年になり寒冷地に住む人や訪問する人に向けて、寒さへの強さをアピールするようになった。
たとえば、Honorがマイナス25度のハルビンでHonor 9Xを5時間普段使いしたという動画を投稿すれば、シャオミもRedmi Note8を南極で使用したという動画で対抗。ただ、完全に本調子で使えるかというとそこまでは言ってなかったので、EVのバッテリー問題のように、バッテリーの保ちまで完全に普段どおりかは少々怪しい。
ただ、中国でリチウムイオン電池の開発に携わっている人の投稿によれば、電池を構成する正極/有機電解液/負極について研究を重ね、高速充電に対応するとともに寒さにも強くなっているとのこと。新しい機種ほど寒さでトラブルが起きにくいようだ。
今年11月に開催された中国国際ハイテク成果博覧会では、中国科学院の科学研究チームが、マイナス70~80度以上で通常使用できる電池を発表した。今後もそうした電池が製品に搭載されることで、寒さに耐えうるスマートフォンもEVも出てくるはずだ。
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