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スマホ充電、暖房、調理家電にも使えるのは?

もしもの時に安心! 最新ポータブル電源の選び方【アウトドアと防災の必需品】

2023年11月29日 07時30分更新

ポータブル電源

この記事は『週刊アスキー』1447号(2023年7月11日発売)に掲載されたものです。製品情報や発売日、価格などは変更されている場合がありますので、ご了承ください。

アウトドアブームが牽引するポタ電市場
災害時の備えとして大容量・高出力モデルに注目

 ポータブル電源の需要が拡大している。相次ぐ大規模な自然災害の発生による防災意識の高まりに加え、コロナ禍を景気とした車中泊ブーム、キャンプブームが市場拡大に寄与している。

 従来はスマートフォンの充電やアウトドアでのパソコン、ミニ扇風機といった低消費電力機器の利用を目的としているため、小容量・低出力・低価格モデルが人気だったが、ここにきて注目されているのが大容量・高出力モデル。いつも家庭で使っている調理家電や暖房機器が使えるため、アウトドアでもリッチに過ごしたいというニーズや、災害時の備えとして求める動きが出ている。今回、ポータブル電源の選びの基本や使用する際の注意点を解説するとともに、大容量・高出力タイプの注目モデルを紹介する。

最重要ポイントは「用途に応じた出力」であること

 バッテリーを選ぶ際、最初に目を向けるのは容量だ。たくさんの容量があれば多くの機器を長時間使えるとイメージしがちだが、容量が大きければどんな家電でも使えるというのは大間違い。例えばスマホの充電や扇風機といった比較的少ない電力を使う機器ならば問題はないが、ホットプレートや電気ケトルなどを使おうとしてコンセントに差しても動かない! ということがある。そこで重要なのが「定格出力」という数値だ。

 家電には消費電力を示す記載(W)がある。複数の機器を同時に使いたい場合、それらの消費電力を合計すると自分に必要なポータブル電源の定格出力を算出できる。一般家庭のコンセントは1500W(1系統、回路あたり)なので、家庭内と同様に様々な家電製品を使用したいなら、ポータブル電源も定格出力1500W以上のものを選ぼう。さらに、電源を入れた際に瞬間的な電力を必要とする家電製品もある。そのためポータブル電源は瞬間最大(サージ電力)出力の数値が2000Wなど、定格出力の1.5~2倍程度の機種を選びたい。今回紹介するモデルは全て定格出力1500W(瞬間最大2000W)以上のものをセレクトした。さらに、正弦波かどうかにも気をつけよう。1500W以上の機種はほとんどが正弦波を出力するが、カタログに矩形波や擬似正弦波などと書いてある場合には扇風機やTVなどが正常に動かない場合があるので注意が必要だ。

 ポータブル電源の価格は、使用されるバッテリーだけでなく、インバーターと呼ばれる電気の制御、変換パーツや、BMSと呼ばれる安全制御装置などの品質の合計で決まる。「リン酸鉄バッテリー採用により長寿命で安全」という謳い文句も見かけるが、名前も聞いたことのないような怪しげなメーカーのものは、すぐに劣化したり故障することもあるので注意しよう。

 また、バッテリーには廃棄やリサイクルの問題もある。最近、適切に廃棄しなかったことで回収車の中で発火するなどの事故がニュースにもなった。ネットで買った海外メーカーのバッテリーは回収してくれないとか、廃棄の方法がわからないという問題も出始めている。処分のことも考慮すると、国内に窓口がある信頼のおけるメーカーを選ぼう。

 バッテリーは多くの電力を蓄えている高エネルギー体なので、安全対策がされていても取り扱いに注意が必要なものだ。安さだけで選んで後悔することのないようにしたい。

ポータブル電池選びのポイント

●電池の種類

 現在ポータブル電源に使われているリチウムイオン電池は三元系とリン酸鉄系に大きく分類される。3元系はニッケル・マンガン・コバルトを正極に使用するもので、エネルギー密度が高いのでコンパクトにできるほか、発熱が抑えられ、低温時の放電特性にも優れている。リン酸鉄系は熱暴走が起こりづらく、安全性が高い、バッテリー寿命が長いというメリットがあるが、本体が大きく重くなりがち。

●定格出力(W)

 定格出力は、ポータブル電源が安定して出力し続けられる電力のことで、定格出力1000Wとあれば、1000Wの電力を出力し続けられる=消費電力1000Wの電気製品を使用し続けられるということになる。一般的にスマホ充電では15W、ノートパソコンでは30W〜だが、電気ケトルは1200W以上が必要なモデルがあり、定格出力1000Wのポータブル電源では利用できない。家庭のコンセントが1500W(1系統、回路あたり)なので、定格1500W以上の出力なら自宅と同じ感覚で使用できる。

●容量(Wh)

 1000Whなら、1000Wの電化製品を1時間稼働させることできる(理論値)という意味。実際には変換ロスや100%使い切らないでバッテリー切れ表示になるので短くなることが多い。1000Whの容量のポータブル電源なら、500Wの電気ポットを2時間程度動、消費電力50Wの扇風機なら20時間可稼働できることになる。

●出力端子

 ACは家庭用コンセントなのでAC100V対応機器がそのまま動かせる。シガーソケットとDC端子は回路的に1つにまとまっていることが多く、車載冷蔵庫など車用電気機器が利用できる。最近はUSB-CやQi(ワイヤレス充電)パッドが備わってるモデルも登場し、デジタル機器の充電が便利になっている。

ポータブル電源

次世代バッテリーの本命、全固体電池が実用化へ

 トヨタがEV向けに実用化を発表したことで注目が集まっているのが全固体電池。エネルギー密度が高く、小型軽量で長寿命と次世代電池として期待されている。ヨシノパワージャパンが開発したポータブル電源は、三元系とリン酸鉄系のメリットを合わせ持ちながら価格は1.5倍程度。普及はまだ先になるだろうが、将来性に期待が高まるテクノロジーだ。

ポータブル電源

 (次ページ:違いがわかる人には高コスパな「Anker」)

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