◆スマートグラスの新モデル「XREAL Air 2 Pro」が発売!
AR(拡張現実)グラスを手掛けるXREALは、11月17日にスマートグラス「XREAL Air 2 Pro」を発売しました。価格は6万1980円。販路はXREAL公式サイト、Amazon.co.jp、ビックカメラ、ヨドバシカメラです。
アジア最大級のIT・エレクトロニクス展示会「CEATEC 2023」(10月17~20日開催)の初日に国内で発表され、発売前日となる11月16日には体験会が開催されました。合わせて日本Xrealの広報課長である中澤真人氏が会場に登壇し、製品の概要とXREALが目指すビジョンを説明しました。
XREAL Air 2 Proは、有線などで接続したスマートフォンやPCの画面を出力し、映像やゲームなどのコンテンツをより大きな画面で楽しめるのが特徴です。ソニー製の0.55型micro-OLEDディスプレイの搭載により、初代の「Air」よりも高精細かつ綺麗に画像や映像を表示できます。
角画素密度(pixels per degree)はAirとProともに49、視野角もともに46、リフレッシュレートもともに120Hzですが、輝度がAirの400ニトから向上し、500ニトになっています。実際に体験会場(屋外)で使ってみると、Airより明るく見やすくなりました。
◆ディスプレーの透過率を変更できる機能を搭載
XREAL Air 2 Proの何よりの魅力は、電気的にディスプレーの透過率を変更できる「電気クロミック制御」機能を搭載していることです。透過率は、つるに設けられたボタンを押すことで、0%、35%、100%の3段階で変更できます。透過率を0%にすれば周囲がほぼ見えなくなり、グラス内に表示されるコンテンツに集中できます。屋外で使っても透過率0%ならほぼ見えなくなるため、日光のもとで使う場合にも役立つでしょう。
音量の差はAirとProとでほぼ変わらないとのことですが、低音から高音に至るまで高音質になり、バランスよく聞こえるようになっています。Airと比べると音量が増したというより、音の全体的な迫力が増したという方が分かるでしょうか。スピーカーを前世代から変更したことで、音がより耳に届きやすくなったそうです。とはいえ、スピーカーなことには変わりなく、音量を上げるほど音漏れは気になります。
◆着け心地はとても向上した
装着感については、もう少し長時間使わないと分からないですが、耳の後ろに何かが載っている感は、軽減された印象を受けます。これはグラスとつるの重量バランスが工夫され、どちらか一方に重量が偏らないようになったことに加え、つるの先端が柔らかい素材に変更されたことが起因しているそうです。
ほんの数分ではなく長時間装着することを想定し、耳にかかる負担を軽減させる、メーカーの努力がうかがえます。重量バランスについてこれまであまり気にしませんでしたが、使ってみるといかに重要であるかが分かりました。
カラバリについてはグレーの1色のみと少ないですが、6色から選べるシール「Kaleido Kit」を使うことで好きな色に変更できます。しかし、ボディーのすべてを好きな色に変更できるわけではなく、つるの外側とグラスの外側にシールを貼ることができるのです。
◆なぜ体験会をキャンプ場でしたのか?
そもそもなぜ日本Xrealがキャンプ場の「農園リゾート ザファーム」(千葉県香取市)で体験会を開催したのでしょうか? グラスの中がどうなっているのかは、実際にのぞいてみないと分からないですし、どのような体験ができるのかは、資料だけでは伝わりにくいでしょう。わざわざキャンプ場で体験会を開催したのには、ある理由があるそうです。
中澤氏は「キャンプなど屋外での使用が増えていること」を挙げ、具体的にARグラスで何ができるのかを伝えたいとの考えを明かします。Airが世界で20万台も売れるなど、ARデバイスを着々と展開していくXREALですが、その用途は限定されています。中澤氏は、ユーザーへの調査で「UMPCやプレイステーションなどにXREAL Airなどを接続し、XREAL Airをモニター代わりに使ってもらっていることが分かった」と話します。
XREAL Air 2 Proもそうですが、コンテンツが整わないと真価を発揮しづらいでしょう。スマートフォンやPCなどと、どのように接続し、その後どのようなシーンで使っていくのかも、具体例がないとなかなか浸透しづらいと感じます。
そうした課題を払拭すること、そして屋外で使いやすいことの証明も兼ねてキャンプ場での体験会に踏み切ったのでしょう。
本体験会のほかにもXREALが注力しているのが世界の主要な各国での展開です。中国では2017年1月から、韓国では2019年12月から、日本では2020年3月から、米国とカナダでは2022年9月から、タイでは2023年6月から、ヨーロッパでは2023年10月からXREALの製品が販売されています。ロンドンでは10月16日に発表会が実施され、XREALのラッピングバスがロンドンを走行するなど、XREALが日本だけでなく主要国でのプロモーションに力を入れる様子がうかがえます。
ちなみに、XREALのユーザーや注目度は増しているとのことで「東京ゲームショウ2023」(以下、TGS)では6000人以上がXREALの製品を体験したといいます。XREALはこれまでにTGSや「CEATEC」といった大規模の展示会に出展したほか、ヤフー(Yahoo! JAPAN)をはじめとする日本企業、団体主催のAR関連イベントへも積極的に参加してきたと中澤氏は振り返ります。
さらに、協力会社との関係についても強化。メーカーはもちろん、アニメ会社ともコラボレーションを実施。GrabShell、ASUS ROG Ally、ガル鷹、Meson、そのほかARデバイスのエコシステムを拡大するための関連ハードウェア、またはソフトウェア企業と協力し、「今後もさまざまなコラボレーションを機に、拡張機能を盛り上げるだけでなくARを一般に普及させていきたい」と中澤氏は意気込みます。
ほかにも九州工業大学キャンパスでは学生向けにワークショップが開催され、ARに関する知識を深めてもらい、産業用途にも活用できることを訴求したといいます。
このほか、体験会場では「XREAL Beam」のアップデートについて明らかにされました。XREAL Beamは、XREAL Air 2 ProなどのARグラスのコントローラー代わりにしたり、Wi-Fi環境下での接続を可能にする製品です。
たとえば、USB Type-C to Cのケーブルで接続できないLightning端子採用iPhoneの画面をXREAL Air 2 Proに出力したい場合、iPhoneとXREAL Beamを同じWi-Fiネットワーク環境下に置くことで、ワイヤレスでの映像出力が可能になります。
アップデートの内容は、Windows PCのデータをネットワークなしにBeamへ直接アップロードできるようになったこと。Windowsの場合、MTPと呼ばれる規格で転送できるそうです。転送できるのはAPKとオーディオのデータ。
これまでコンテンツ視聴にはスマートフォンなどが必須となっていたXREALのARグラスでしたが、今後はBeamとグラスさえあればコンテンツを楽しめるということです。ただ、APKなどの転送方法の詳細が開示されると、もう少し扱いやすくなるはずです。
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