週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

経理の作業は月12時間増! インボイス制度開始後の実態をSansanが調査

2023年11月20日 17時15分更新

 Sansanは11月20日、インボイス管理サービス「Bill One」が、インボイス制度開始後初めての月次決算が終了したことを踏まえ、請求書関連業務に携わる1000名のビジネスパーソン(経理部門:500名、経理以外の部門:500名)を対象に「インボイス制度開始後の実態調査」を実施したことを発表。

 調査の結果、インボイス制度対応に課題を感じている経理担当者は70.2%にのぼったという。特に自社で受け取った請求書の確認に関する業務負荷に関する課題が多く、インボイス制度開始前後で比較すると経理担当者1人あたり月12時間ほど業務が増加した。

 また、経理以外の部門においても、制度開始によって工数が増えたと感じた人が69.8%と、インボイス制度への対応により、経理部門だけでなく全社的に業務負担が増加していることが判明した。

インボイス制度開始後、対応への課題を感じている経理担当者は7割超

 経理担当者500名に対して、インボイス制度への対応に何らかの業務課題を感じているか聞いたところ、「課題を感じた」と答えた人は70.2%、「特に課題を感じなかった」と答えた人は29.8%という結果となった。多くの担当者がインボイス制度対応への課題を抱えていることが分かった。

主な課題は「請求書業務の負荷増大」「社内で混乱が生じた」

 請求書受領について特に課題を感じたことの第1位は「請求書業務の負荷が増えた」(39.2%)、第2位は「社内理解が不十分で混乱が生じた」(28.6%)という結果となった。また、業務時間の増加により他業務への影響が生じていることも分かった。

 そのほか、受領した請求書が適格請求書ではなかった、適格請求書かどうかの判定が困難といった項目が上位に挙がっており、適格請求書に確認に課題を感じている人が多いことがうかがえるという。

受け取った請求書の確認方法は「経理担当者が目視確認」が最多

 取引先から受け取った請求書が適格請求書の要件を満たしているかについて、どのように確認しているか聞いたところ、およそ7割は「経理担当者による目視確認」だった。その一方で、登録番号の確認を特にしていないと回答した人も15%おり、受け取った請求書が適格請求書かどうか確認していない人も一定数いることが判明した。

経理担当者1人あたりの作業時間が月平均およそ12時間増加

 インボイス制度開始に伴い、経理担当者が月次決算業務にかける時間が、1人あたり平均11.9時間ほど増加しており、営業日に換算するとおよそ1.6営業日という結果となった。あくまでも1人あたりの増加時間のため、経理部門全体ではより多くの時間を要していることになる。前月分の請求書を短期間で処理する必要がある月次決算時期に業務時間が増えることは、経理担当者にとっては大きな負担となっていると予想している。

非経理部門でも業務増加を感じた人がおよそ7割
「適格請求書かどうかの確認」「請求書不備の修正依頼」が増加

 また、経理以外の部門に所属する500名を対象に、インボイス制度開始後の業務について聞いたところ、「業務が増えた」と回答した人は69.8%となった。

 インボイス制度開始後に増えた業務として最も多かったのは「受け取った請求書が適格請求書かどうかの確認」、次点は「受け取った請求書に不備があった場合の修正対応」だった。経理部門だけでなく、取引先と請求書についてやりとりする他部門においても、インボイス制度を正しく理解し、請求書の内容確認や修正に関してやりとりすることが求められており、業務負荷が増大している。

 具体的なエピソードとして、「まずインボイス制度を理解するのに時間がかかり、日々の確認業務にも時間を要している(製造業)」、「登録番号が記載されていない領収書を受け取ってしまった(運輸・物流業)」などのコメントが寄せられた。

 また、請求書内容の確認に加えて、社内外のやりとりが増えたと感じている人も多く、「立替精算のとき、経理部門から適格請求書の提出を要求されるなどコミュ二ケーションが増えてかなり時間がかかった(小売業)」「適格請求書の必要要件を理解していない取引先に対しての連絡に時間を要している(建設業)」といったコメントがあった。さらに、「経理担当者も制度を理解しきれていない(運輸・物流業)」といった声も挙がり、制度内容の複雑さから、経理部門でさえも制度内容の把握に苦慮していることがうかがえる。

■調査概要
調査名:インボイス制度開始後の実態調査
調査方法:オンライン上でのアンケート調査
調査地域:全国
調査対象:請求書を取り扱う業務を担当するビジネスパーソン1000名
(経理部門500名、経理以外の部門500名)
※請求書を取り扱う業務とは、請求書の受け取り、振り分け、内容確認、支払い申請、支払い承認、経理部門への請求書提出、請求書の仕訳入力、支払いの実施、請求書の保管などを指す
調査期間:11月6日~8日
調査企画:Sansan

■関連サイト

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります