キーボード製造などで世界有数の地位を占めるLITEON
一方、LITE-ON Technologyは、台北に本社を置く企業で、1975年に設立。台湾の電子関連企業のなかでは、最初の上場企業となっている。売上高は57億米ドル、社員数は3万2000人の規模を誇る。フォトカプラでは世界1位、電源およびキーボードでは世界2位のシェアを持つ。日本法人は1985年に設立し、主に営業拠点としての役割を担っており、ITおよび民生用機器、車載関連機器、電源関連機器、ネットワーク関連機器、スマート関連製品などを国内でも展開している。2022年度の売上高は約260億円。社員数は64人。
LITE-ON Technologyの日本法人である日本ライトンの酒屋ヘリオ社長は、「全世界でCorporate Developmentの取り組みを開始しており、それぞれの市場に適した製品を開発、販売する戦略を開始したところだ。2023年7月に、東京・天王洲に、スマートLEDに関する研究拠点を新設した。日本の消費者のニーズに対応したモノづくりを進めていくことになる」と述べた。
同社では、Corporate Developmentの取り組みのひとつとして、スタートアップ企業の支援とエコシステムを構築するLITEON+を、会長直轄組織として設置。今回のエレファンテックとの協業もこの取り組みのなかで行われたという。
LITE-ON Technology LITEON+ マネージングディレクターのロジャー・チェン氏は、「LITEONは、世界中の市場に対してアプローチが可能な企業であり、量産に関するノウハウを持っている。エレファンテックの技術を用いて、新たな市場にアプローチしていきたい。ステップ1として、LITEONが生産するキーボードのバックライトに採用し、そのほかの製品にも採用の幅を広げたい。また、ベトナム、中国、メキシコ、米国にも生産拠点があり、これらの工場で生産している製品にも、エレファンテックの技術を展開できる。ステップ2では、LITEON社内に量産印刷装置を導入し、自ら低炭素プリント基板を生産することにも乗り出したい」と語った。
エレファンテックでは、現在、次世代インクジェット印刷装置の開発を行っており、2025年の完成を目指している。LITEON社内への量産印刷装置の導入は、次世代になる公算が高いという。
東京大学発のスタートアップ企業、エプソンと協業
エレファンテックは、東京大学発のスタートアップ企業で、2014年1月に設立。2019年7月には、セイコーエプソンと資本提携するとともに、エプソンのプリントヘッド技術を活用。今回、LITEONに提供する低炭素プリント基板の量産においても、エプソンの技術が活用されている。量産を開始したのは2020年からで、2023年には製造設備を大幅に増強し、年間数100万ピースの生産を可能にしている。2023年10月には、CEATEC AWARD 2023の経済産業大臣賞を受賞している。
生産したフレキシブルプリント基板は「P-Flex」と呼び、EIZOでは、ウルトラワイド曲面モニター「FlexScan EV3895」の静電操作スイッチ部に採用。湾曲形状でも利用できるほか、コスト削減効果があるという。また、フクダでは、エアリークテスト装置の高精度圧力センサモジュール部にP-Flexを採用。ロットサイズの影響を受けることなく、モジュールの小型化に貢献できたという。
今後は、キーボードやマウス、ディスプレイといったPC関連機器のほか、車載電池の電池制御システム(BMS)、レンズ交換式カメラ、スマホやタブレット、ゲーム機器、VR/ARデバイス、産業機器、自動車など、幅広い分野での採用を見込んでいる。
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