インテリジェント ウェイブ(IWI)は11月15日、AIによる日本語校正サービス「IWI日本語校正ツール」の正式リリースを発表した。
東証など複数の企業が検証に参加
IWI日本語校正ツールは、大規模言語モデル(LLM)を用いた日本語文書の校正ツールだ。2022年11月にまずアルファ版を公開。その後ベータ版への移行してからは複数の企業でテストとフィードバックを繰り返し、機能の向上や追加を進めた結果、今回の正式版リリースへと繋がった。
ベータテストには東京証券取引所(東証)と日商エレクトロニクスも参加。東証では同社が発行する文書の確認業務に、日商エレクトロニクスでは外国籍社員の日本語メールチェックに使用され、検証および評価がなされているという。
無償版と有償版の2種類を用意
本サービスは無償版のほかに、1ユーザーあたり月額2000円の有償版が用意されている。無償版では基本機能のみアクセス可能で、一度にチェックできる文字数は1000字まで。対して有償版は細かい設定調整を含めた全機能を利用でき、一度にチェック可能な文字数も5万字まで拡大される。
各機能の詳細は以下の通り。
無償版と有償版のどちらでも利用できる機能
●基本的な文章校正
文章を入力すると自動で校正してくれる、本サービスの最も基本的な機能。誤字脱字や文法の誤用、二重否定、「ら抜き」言葉の指摘にくわえ、AIが文脈を判断し、文脈から外れる表記や不自然な表現の改善提案を受けることも可能だ。
文章は画面上での直接入力のほか、「Word」「Excel」「PowerPoint」ファイルの読み込みにも対応。後者はファイル内から自動でテキストを抽出し、IWI日本語校正ツールの画面上で校正する仕組みとなっている。
●公文書作成のためのチェック
こちらは、一般的な文書より記述に関するルールが厳密な公文書の作成に特化した校正機能。
文化審議会が公開している「公用文作成の考え方(建議)」(令和4年1月7日)に基づき、現代仮名遣いや漢字、ひらがな、カタカナでの記載が推奨される言葉や用法、常用外漢字の利用、送り仮名、外来語の利用などをチェックできる。
無償版と有償版、どちらのユーザーも利用できるが、後者の場合は機能のオン/オフの設定も可能だ。
有償版ユーザー限定機能
●独自のチェック用語集の作成
独自のチェック項目として専用の用語種を作成できる機能。指摘が必要な用語の追加するだけでなく、不要な指摘を抑制することも可能だ。
例えば「コンピュータ」という表記に対して「コンピューター」と改めるよう推奨するルールを追加することもできるし、逆に「コンピュータ」と入力してもそのままの表記を維持するようルール化することもできる。
文書の提出先によって単語の表記ルールが異なる場合、特に便利な機能といえるだろう。
●公用文作成のためのチェックルールの調整
前述の「公文書作成のためのチェック」について、チェック項目の全体や一部を自由にオン/オフできる機能。例えばチェック項目のうち、「現代仮名遣いに即したチェック」と「一部の字体のチェック」のみをオフにするといった使い方が可能だ。
●チーム内で校正ルールを共有
複数のユーザーで本サービスを利用する際、チーム内で校正ルールを共有することもできる。個々のメンバーで校正ルールを作成する必要がないため、校正業務を効率化することが可能だ。
●入力した情報の消去(非保存)
有償版ではIWI日本語校正ツールに入力した内容を消去することもできる。社外秘など機密性の高い情報を扱う際に便利な機能だ。
今後も機能を拡充予定
同社では正式リリース後も引き続きユーザーの意見を受け入れつつ、本サービスのAI学習の強化や機能拡充を進める方針。
今後は公共機関や金融業界など、文書の正確性が求められる分野への展開を予定しているという。
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