週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

車好きは一抹の寂しさを覚えたジャパンモビリティショーだが、方向転換は大勝利だったようだ

2023年11月14日 12時00分更新

◆一般とメディアの価値観の違いがハッキリ出た

 速いもの大好き、スマホとクルマ担当のスピーディー末岡です。またまたジャパンモビリティショーをテーマに語ります。

マツダのコンセプトカー「ICONIC SP」。残念ながらロータリーエンジンはまだ搭載されていない

 東京モーターショー改め、ジャパンモビリティショーが閉幕しました。名称が変わり、どうなることかと思いましたが、筆者のガッカリ感とは裏腹に過去最多の475社が出展し、来場者数は111万2000人だったようです。来場者数が二桁になった2009年以降、2019年の出展192社、来場者130万人に続く数字で、大盛況だったことがわかります。

モビリティーショーのコンセプトカーにガッカリしたが……

 ジャパンモビリティショーに名称が変わり、コンセプトカーの展示が多くなり、発売されるのかどうかもわからないクルマに心がときめかなくなってしまったというお話です。


 

 そもそも2019年は無料エリアの来場者もカウントされていたので、有料エリアのみの今年とは事情が違うので一概に比較はできません。しかし、コンセプト自体は同じで未来のモビリティーを多数展示(トヨタは量販車の展示がゼロだった)し、130万人を集めるのに成功していました。実は2019年の成功があったからのジャパンモビリティーショーだったのです。

 なので、いきなり方向転換したわけではなく、勝算があってのことでした。

 また、展示車はコンセプトカーが多かったものの、その中でもスポーツカーが目立っていたのも今年の特徴です。たしかに、未来が見えないハリボテ感溢れるクルマもありましたが、ここ数年以内に出ると言われていたものも多く、筆者のような偏屈なクルマ好きはともかく、多くのクルマ好きに刺さったようで、SNSでも肯定的なコメントが多かったですね。

 ですが、自動車メディアなどを見てみると、筆者と同じような意見(ガッカリしたなど)が載っていることもよく目にしました。一般の方とメディアの乖離をまざまざと見せつけられた気がします。もちろん、賞賛の記事も多かったですが。

◆数字がもの語るモビリティショーの成功

 主催者発表の数字を見てみると、主催者プログラムの「TOKYO FUTURE TOUR」には50万人来場、スタートアップのコンテストには116社が参加、ブース出展やビジネスマッチングを経た商談の継続数が430件以上、トークセッションの参加者/視聴者は4万2000人以上、子ども向けのキッザニアへの参加者は1万3000人以上、公式アプリのダウンロード数は16万と、来場者が111万人だったことを考えるとなかなかの数字を叩き出しています。TOKYO FUTURE TOURに2人に1人が参加していたとは驚きです。

TOKYO FUTURE TOURの一部

 モーターショーは元来、これから発売されるクルマを一足お先に見ることができ、また発売中のクルマの運転席に座ったりして、将来の愛車に思いをはせる場でした。普通なら試乗する機会もないクルマに触れられる、主にクルマ好きがターゲットのショーだったのです。

賛否両論だった「Nissan Hyper Force」のリア

 しかし、昨今の若者のクルマ離れ、車両本体価格やガソリン価格の高騰もあり、自動車業界は苦境に立たされています。そんな中「未来のプラットフォームを作る」をスローガンに、クルマ好きだけでなく、広くモビリティを知ってもらおうと大きく舵を切ったジャパンモビリティショー。輸入車が少ない、コンセプトカーが微妙などと言われながらも終わってみれば大盛況でした。筆者の「一抹の不安」はまったくもって的外れだったわけです。

かつて飛行機を作っていたスバルらしい空の移動革命「AIR MOBILITY CONCEPT」

 今回の結果に手応えを感じたのか、自工会の豊田章男会長は「2年ごとではなく、1年に1回やる」と宣言していました。たしかに、2年に1回という開催ペースでは技術の進化や時代の流れが速い現代とは合っていません。CESやIFAやMWCといった海外の名だたるイベントも年に1回です。これには筆者も賛成です。新しい技術はすぐに見たいですからね。

 でもやっぱり……クルマ好きオジサンとしては、ロードスターやNSX、R32 GT-Rなどが発表された1989年のモーターショーが忘れられないのです……。

筆者紹介───スピーディー末岡

 アスキースマホ総研主席研究部員。速いものが好きなスペック厨で、スマホ選びはスペックの数字が優先。なので使うスマホは基本的にハイエンドメイン。クルマはスポーツカーが大好き、音楽はヘビーメタルが大好きと、全方位で速いものを好む傾向にある。スマホ以外では乗り物記事全般を担当している。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事