週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

Steam Deck OLEDはHDR10対応のOLED搭載!従来機とも比較してみた

2023年11月10日 03時00分更新

基本性能は大きく変わらない

 Steam Deckの新モデルとなれば、性能アップへの期待が高まらないはずはない。だがこのSteam Deck OLEDに「Ryzen Zシリーズ」のような新世代SoCの採用はない。SoCはCPUがZen 2の4コア/8スレッド、GPUがRDNA 2ベースの8CU(Compute Unit)と、Steam Deck LCDのSoCから変更はない。

 メモリーはLPDDR5-5500からLPDDR5-6400に強化されている。SoCのスペックが据え置かれたのはコストの問題もあるが、Steam Deck LCDとOLEDでSoC性能を変えないことで、ゲーム開発者がSteam Deck向けにチューニングをする際の作業負担を減らしすことを目的としている。性能も重要だが、別の方面でより良いエクスペリエンスを提供する、というのがSteam Deck OLED設計の狙いいだ。

 そのエクスペリエンスとはバッテリー駆動時間や発熱の改善だ。Steam Deck OLEDのSoCはプロセスルールを7nmから6nmにシュリンクすることで、LCD版のSoCよりも省電力かつ低発熱動作を可能にした。

 さらにSteam DeckのSoCはSteamOSでは使わない不要な回路(DSPなど)を除去し調達コストを下げているという。同じSoCとは言うものの、シリコンレベルでは着実に進歩しているのだ。

Steam Deck OLED

Steam Deck LCDのシステム情報:APU名が「APU 0405」、ビデオカード欄にはGPUのアーキテクチャー「Vangogh」、つまりRDNA 2となっている

Steam Deck OLED

Steam Deck OLEDのシステム情報:APU名もGPU名もSteam Deck LCDから変わっていない。ただ動作クロックが3.5GHzと出ており、Steam Deck LCDより増えている。Valveは特にクロックが上がったと説明していない(700MHzの向上は大きいと思うのだが……)

 SoCのプロセスルールを6nmにシュリンクしたことでSoCの低発熱化と低消費電力化という2つのメリットが生まれた。特に後者のメリットは大きく、Steam Deck OLEDではバッテリーの持続時間がLCD版に比べ30~50%向上しているとValveは謳っている。

 バッテリーの占有面積はさほど変化していないが、容量も40Whrから50Whwに拡張されており、バッテリー駆動時間延長に大きく貢献している。バッテリー駆動時間は携帯型ゲーム機の生命線であるだけに、このアップデートは多いに歓迎すべきものだ。

OLEDはバッテリー駆動時間延長や軽量化にも貢献

 Steam Deck OLEDのディスプレーは“ゲームの本来あるべき姿を楽しむ”ためのものだとValveは語っている。今やSteamで配信されている著名タイトルの多くはHDRに対応しているため、Steam Deck OLEDを使うことでゲーム開発者が本来見せたかった表現で楽しむことが可能になる(これは画質が伴っての話ではと思うのだが……)。

 Steam Deck OLEDで採用されたOLEDは解像度こそ1280×800ドットのままだが、最大輝度1000nitのHDR表示に対応しただけでなく、リフレッシュレートが最大90Hz対応、表示エリアも7.4インチに拡大したことでLCD版よりも華やかかつ滑らかな画面表示が可能となった。リフレッシュレートを90Hzにとどめた理由はコストのほかに、現状のSoCのパフォーマンスを考慮した上のことだ。

 OLEDの採用はバッテリー駆動時間にも良い影響を与えている。パネル自体が省電力であるほか、パネルアセンブリーが薄型化したことでバッテリー容積も増やせるようになった。Steam Deck OLEDの重量はLCD版よりも30g軽いが、OLEDの採用も軽量化に一役買っているようだ。

Steam Deck OLED

LCD(上)とOLED(下)を比べると、ディスプレー周囲の黒い部分は同じだが、表示領域が7インチから7.4インチに拡大した

Steam Deck OLED

LCDとOLEDの差は少しナナメから見た時によく分かる。「Cyberpunk 2077」で同じセーブデータを使って表示させると、LCD(奥)は全体が青くかつ暗く見えてしまうのに対し、OLED(手前)はより明るく、見え方も自然だ

Steam Deck OLED

Steam Deck OLEDの「……」ボタンでメニューを出すと、フレームレートリミッターの最大値は90fps(=90Hz)となる。ただし外部ディスプレーを接続した場合は60Hzに下がる

Steam Deck OLED

ゲームのHDR設定はマニュアルで有効化が必要な場合もある。図はCyberpunk 2077の設定例

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう