本連載では、ASCII.jpに掲載されたAI関連記事を中心に紹介、最近のAI事情を俯瞰していく。今回は10月下旬(10月16日から31日)の主なニュースを振り返ってみよう。
スマホで画像生成AIが使える時代、“来歴情報”は必要不可欠になる(10月18日)
前回もお伝えしたAdobe Max関連の記事だが、重要な話なので今回もお伝えしておきたい。
生成AIというと「フェイク対策」が念頭に出てくる。確かに非常に重要で、対策は必須だ。
そこで考えるべき要素の一つに「来歴記録」がある。これは、写真やイラストなどについて「それは誰が最初に作ったもので、どのような編集を経て世に出てきたか」を記録した情報である。
Adobeは数年前からこの概念を推しており、標準化団体であるC2PAやCAIでもリーダー的な役割を果たしている。
生成AIでも「この画像は生成AIによるものである」という情報を埋め込むことで、素性のしれない画像よりも使いやすくなる……という考え方はあるわけだ。
実際Adobeはそうしているし、マイクロソフトがDALL-E 3ベースで運営しているBing Image Creatorで生成した画像にも、来歴情報が記録されている。
ただ、来歴記録は「そのコンテンツからフェイクを作れなくする」ものでもないし「真贋の判断」もできない。利用者から見ると「来歴がわかる」だけなのだ。来歴自体は改ざんが困難だが、来歴を消すことはできる。
重要なのは来歴があれば、利用者が判断できるということだ。来歴がなければ、その画像がAIだろうがそうでなかろうが、由来はわからない。どれだけ編集されていようが、AI生成であろうが、由来がわかれば「それが妥当なものか」は判断できる。今後ビジネス向けのコンテンツでは、来歴記録が基本になるだろう。
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