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Core i7-14700Kのゲーム性能は前世代i9相当に!Raptor Lake-S Refreshをゲーム10本で検証

2023年10月31日 19時30分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

3D V-Cacheさえ無ければライバルに勝てる「Overwatch 2」

 まずは「Overwatch 2」から始めよう。画質は“低”、レンダースケールは100%、FSR 1/2はオフ、フレームレート上限は600fpsに設定。マップ“Eichenwalde”におけるBotマッチを観戦中のフレームレートを計測した。

Overwatch 2:1920×1080ドット時のフレームレート。RSはRender Scale(レンダースケール)の略

 高フレームレートを出すためにCPUの負荷も高くなりやすいゲームだが、Core i9-13900KSが13700K並になるなど(複数回の計測から中央値を抽出)、ハイエンドでもフレームレートが伸びきらない結果が出た。だがCore i9-14900Kをはじめとする第14世代は、第13世代の同モデルに対しややフレームレートが伸びたと言ってよいだろう。Core i9-14900Kの場合、PPPを付けてもCore i7-14700Kを上回れるという点に注目したい。

 一方Ryzen勢を見ると、3D V-CacheのないRyzen 7000「X」シリーズは全体的にパッとしない。特にRyzen 9 7950Xと7900XがRyzen 7 7700Xにフレームレートで負けている点に関しては、CCDが2基のRyzen 9の構造的な弱点(CCDまたぎが発生すると内部的なレイテンシーが発生してしまう)があることを示している。

 しかし、真のゲームキングはRyzen 7 7800X3Dであることは言うまでもない。例えメモリーの定格やクロックが少々低くても、3D V-Cacheの存在がRyzen 7 7800X3Dを輝かせている。

 ではこのベンチマーク中の消費電力(CPU単体およびシステム全体)と、10Wあたりのワットパフォーマンスを比較してみよう。

Overwatch 2:左から、ベンチマーク時に観測されたCPUおよびシステム全体の消費電力(平均)と、CPUとシステム全体それぞれにおける10Wあたりのワットパフォーマンス。左2列は短いほど良く、右2列は長いほど良い

 まずCPUの消費電力から見よう。第13世代はCore i9-13900KSの消費電力が突出しているが、Core i9-14900Kはさらにその上をゆく。CPUの馬力ではCore i9-13900Kに並ぶ勢い(でもわずかに及ばなかった)だったCore i7-14700Kだが、消費電力ではCore i9-13900Kを上回った。

 Core i5-13600Kに対するCore i5-14600Kからもわかる通り、第14世代はゲーム中においても消費電力が増えてしまっている。増えたぶんフレームレートも伸びていれば良いのだが、それは楽観に過ぎることをワットパフォーマンスのデータが示している。

 インテル vs AMDの図式で見ると、2CCD構成のRyzen 9 7950X/7900Xに関しては第13世代のCore i9-13900K等と大差ない一方で、1CCD構成のRyzen 7 7700Xのワットパフォーマンスは良好だ。だがそれ以上に3D V-Cacheを搭載したRyzen 7 7800X3Dの消費電力の低さ、特にワットパフォーマンスが圧倒的すぎて他のCPUを霞ませてしまっている。

 Ryzen 7 7800X3DではCPUの消費電力が圧倒的に低い(63W)なのに、システム全体の消費電力(274W)が他のRyzenと大して変わっていないのは、CPUはメモリーシステムへのアクセスが減って消費電力が下がったが、フレームレートが上がったぶんGPUも仕事をする(正確には因果関係が逆だが……)ためシステム全体の消費電力が増えたということになる。

「Call of Duty」では全体的に頭打ち気味

 続いては原題「Call of Duty: Modern Warfare II」だ(現在Steam上では単なる「Call of Duty」となっているため、ここでもCall of Dutyと表記する)。画質は“最低”、レンダースケール100%、アンチエイリアス品質は“低”に設定。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。

Call of Duty:1920×1080ドット時のフレームレート

 300fpsあたりに見えない壁があるが、300fpsでキャップというわけではないのはRyzen 7 7800X3Dのデータを見れば明らかだ。このゲームにおいては第14世代と第13世代の差は小さく、かつ3D V-CacheのないRyzenはインテル勢に比して非常に苦戦している。Overwatch 2のように1CCDのRyzen 7 7700Xが上位を逆転しているというわけでもないため、メモリーの帯域が足枷(だから3D V-Cacheが有利に働く)となっていることが示唆される。

Call of Duty:ベンチマーク時に観測されたCPUおよびシステム全体の消費電力(平均)と、各々10Wあたりのワットパフォーマンス

 Overwatch 2よりもフレームレートが伸びない割にCPUの消費電力は格段に増えている点に注目。特にCore i9-14900KとCore i9-13900KSの消費電力が突出して高い。

 だがCore i9-14900KもPPPを利用するとCPUだけで40W近く減るが、フレームレートは5fps程度しか下がらないため、消費電力が気になるのであればPPPを積極的に使いたい(5fpsは大きいようだが、290fps近辺の5fpsなので誤差といえるかもしれない)。Core i9-14900K+PPPであれば、Core i9-13900Kより消費電力も少なくて済む。

 ただ、ここでもRyzen 7 7800X3Dは圧倒的に消費電力が少ない。システム全体としてはRyzen 7 7700X並だが、そのぶんフレームレートを出すためにGPUが仕事をしているから、というのはOverwatch 2と同じ理屈だ。

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