メディカル領域
3つめのメディカルは、2016年の東芝メディカルシステムズの買収が大きな転換点だった。
「この7年間に渡り、キヤノンが持つ高度な光学技術や生産技術との融合により、さらに事業が強化され、いまではキヤノンの中核事業に育っている」と語る。
カナダのレドレン・テクノロジーズの買収や、米国に新会社のCanon Healthcare USA, INC.を設立するなど、グローバルでのメディカル事業強化に向けた足がかりをつくっているほか、次世代CTの実用化推進に向けて、国立がん研究センターと共同研究に取り組んだり、再生医療においては、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長と共同研究も進めたりしている。
「画像診断なしでは高度な医療は実現しない。キヤノンは、CTやMRIを通じて、病気の早期発見に貢献する」と語る。
インダストリアル領域
最後のインダストリアルは、半導体露光装置やフラットパネルディスプレイ露光装置、有機ELディスプレイ製造装置などの産業機器で構成する。
すでに、半導体製造装置などを生産する宇都宮事業所に新工場を建設し、2025年から稼働。生産力を大幅に強化する計画を発表している。事業拡大に向けた地盤づくりにも余念がない。
ここでは、新技術であるナノインプリントが、今後の成長の鍵を握るといえる。
ナノインプリントは、従来の露光技術に代わる新たな技術であり、製造工程がシンプルになり、消費電力も少なく、コスト削減ができる。15nm以下の微細な回路パターンを安価に製造できるため、「先端半導体の生産において、ゲームチェンジャーになる可能性を秘めている。すでに多くの問い合わせがある」と、御手洗会長兼社長 CEOも期待を寄せる。
今後、技術開発を進めるとともに、半導体デバイスメーカーと協力し、アプリケーションの拡大に向けた活動を進めるという。
御手洗会長兼社長 CEOは、「半導体は人類にとって不可欠なものであり、半導体の安定供給に貢献することもキヤノンの重要な役割である」と語った。
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