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見栄えがいい水冷「IceMyst」でPCに花を咲かせる(冷却効率を探る)のが最高に楽しい!

2023年10月26日 11時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●北村/ASCII
提供: SilverStone/協力: テックウインド

 高性能なCPUを使うには、その発熱に見合ったCPUクーラーが必要になるが、CPUをフル回転させるような作業では空冷よりも大型ラジエーターを備えたAIO水冷(簡易水冷)の方が有利だ。AIO水冷はポンプの故障の可能性や冷却液の蒸発(劣化)など、耐久性という点において空冷より不利な点はあるものの、ハイエンドCPUではAIO水冷が推奨されるシーンが多い。

 最近のAIO水冷はCPUと接触する水冷ヘッド部分をどう見せるかに「も」力を入れた製品が多い。ヘッド上部に液晶やインフィニティミラーを組み込んで目立たせるのが近年のトレンドだが、SiverStoneは水冷ヘッドに「ファンを積層する」という驚きのコンセプトの製品を出してきた。それが今回レビューする「IceMyst」である。

IceMystは今年6月に開催された「COMPUTEX TAIPEI 2023」で初めてお披露目された。某大阪万博のマスコットキャラ、もとい満開の花のような奇抜な見た目に、誰しも度肝を抜かれたはずだ

 水冷ヘッドにファンを載せるというアイデアを形にしたAIO水冷は過去になかったわけではない。しかしIceMystのファンは水冷ヘッドの上に達磨落としのように積み重ねることができ、さらに各ファンを320度の範囲で回転させられる、というところに驚きと目新しさがある。CPU周辺のVRMやM.2のヒートシンク、さらにはメモリーモジュールまでピンポイントで冷やせるAIO水冷というわけだ。

 今回は先日登場したインテルの最新CPU「Core i7-14700K」とIceMystの360mmラジエーターモデル「IceMyst 360」を組み合わせ、実際にこのファンが冷却に効果があるのか検証した。“見映え”だけの装備なのか、実用的装備なのか? 簡単ではあるが考察してみたい。

CPUだけでなく、CPU周囲のコンポーネントを冷やしたい人にオススメしたいAIO水冷「IceMyst 360 (SST-IM360-ARGB)」。価格は税込2万7500円

IceMystの最大の売りである水冷ヘッドに積層するファン「SST-IMF70-ARGB」別売。価格は税込2420円

 まずは水冷クーラーとしてのIceMystの見どころを押さえておきたい。IceMystはラジエーターサイズの違いで120/240/360/280/420mmの合計5モデルが用意されている。全モデルにおいて追加ファン「SST-IMF70-ARGB」が別売となっているのが残念だが、CPUを冷やすだけならIceMystの追加ファンは必要ない。CPU周囲をさらに冷やしたい人向けのオプションだからだ。

 最近の流行にならい、IceMystシリーズの水冷ヘッドおよび冷却ファンのブレードはRGB LEDでライトアップされる。IceMystシリーズの冷却ファンはファン回転用の電力とRGB LED用のケーブルが一体化した専用ケーブルで数珠つなぎにするため、配線の手間は格段に少ない。ファンと水冷ヘッドのRGB LEDはマザーのARGBヘッダーに接続することで、マザー側で発光色を一括制御できる。

 水冷ヘッドはCPUとの接触部に銅製のプレートを使用した定番の設計だが、中央をほんの少しだけ凸形状にすることでCPUとの接触をより確実にしている。ただ今回LGA1700環境で使った感じでは、水冷ヘッド固定用のネジを締め込んでも、微妙に接触が物足らない印象があった。

 特にシリコングリス(本製品はチューブ式のものが同梱)をCPU中央に少量載せるだけのスタイルだと、端まで伸びない可能性もある。気持ち多めに出した後しっかり延ばすのがポイントのようだ。グリス塗布については個人のスキル差が出てしまうので、グリスを最適なパターンと量で塗布できるガイドシールが同梱されていればさらに良かったのだが……。

IceMystの水冷ヘッド部分。ベース部分の金具を変更することでインテルならLGA115x/LGA1700/LGA2011、AMDはAM4/AM5に対応する。ちなみにAMDの場合CPU両側のリテンションパーツを取り外す必要はない

CPUと接触する部分は微妙に凸形状になっているとのことだが、肉眼ではまったく分からない程度の微妙な凸具合だ

 さてIceMystシリーズ最大の特徴である別売の追加ファンの話をしよう。水冷ヘッド上部のキャップを外すと専用のピンが出現するので、ファン側のコネクターに合うような格好で押し込むだけで装着できる。このファンのおもしろいところは、ファンを積みたければいくらでも積めるという点だ。ただ積めば積むだけ高くなるのでPCケースに収まる範囲で装着する程度にとどめたい。

 ファンの電力やファンのRGB LEDの電力消費が上限を決めるが、SilverStoneによれば18個まで確認したとのこと。ただファン6個+キャップを積み上げるとマザーからの高さが180mm近くまで積み上がる。上に積んだファンほどマザー側に吹き付ける風の威力が弱まるため、数多く重ねれば良いというものでもない。

 また、ビデオカードやPCケース天井、IceMystの冷却水ホースなどとファンが干渉する角度は設定できないので、重ねれば重ねるほど無駄になる。また、メモリーモジュールを冷やすためにはある程度積まないとモジュールの上から風を送れないなどの制約もある。ファン1基でもメモリーモジュールの上から風を送れるようにファンを底上げするスペーサーオプションも欲しかったところだ。

水冷ヘッドのキャップは手で簡単に外せる。顔のようなデザインだが、ファンを積み重ねる場合はこの顔が同じ向きになるように重ねれば良いので簡単だ

追加のファンを1基積んだところ。中心の黒い部分は水冷ヘッドと一体化して動かないが、周囲のシルバー色の部分は320度の可動域の中で好きな位置に固定できる。最後にこの上からキャップを被せれば完成

ファンは5基もあれば水冷ヘッドの周囲をほぼぐるりとカバーすることができるだろう

今回の実験環境にIceMyst 360と6基のファンを組み込んだ状態。隣に見えるビデオカードの全高は139mm(公称)だが、6基めでようやくビデオカードの上にファンを被せることが可能になった。マザー表面からキャップ上端まではざっと180mmといったところ

動作中はファンもRGB LEDで美しく発光する。ファンを6基も追加するとインパクトは最強だ

VRMやCPU直下のM.2を冷やすなら、ファンを1~3基積めば十分ではないだろうか

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