第742回
Ryzen Threadripper 7000シリーズのターゲットはAMDの熱狂的なファン AMD CPUロードマップ
ひさびさにコンシューマー向け製品として再投入される
Ryzen Threadripper 7000 HEDT
sTR5プラットフォームをそのまま利用しつつ、コンシューマー向けにひさびさに投入されるのがRyzen Threadripper 7000 HEDTである。
1000/2000番台はProが付かずにコンシューマーとワークステーションの両用という形でポジショニングされていたThreadripperであるが、3000番台からProが付いてワークステーション専用になった(背景には2 CCD構成のRyzen 9 3900Xシリーズの投入がある)形だが、なぜかコンシューマー向け製品として再投入されることになった。まず投入されるのは3 SKUである。
「まず」と書くのは下の画像が公開されているためだ。ちなみに上の画像では価格などが公開されていないが、プレスリリースではすでに発表されている。
Ryzen Threadripper 7000 HEDTシリーズのスペック表 | ||||||
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製品名 | ベースクロック | ターボクロック | 価格 | |||
Ryzen Threadripper 7980X | 3.2GHz | 5.1GHz | $4,999 | |||
Ryzen Threadripper 7970X | 4.0GHz | 5.3GHz | $2,499 | |||
Ryzen Threadripper 7960X | 4.2GHz | 5.3GHz | $1,499 |
プラットフォームがどうなっているのかは現時点で未公表である。ただRyzen Threadripper 7000 HEDTのパッケージ内の配線は紹介されており、GPUおよびM.2用に3×PCIe Gen5 x16が配され、それとは別にチップセット接続用にPCIe Gen4 x4が生きている格好だ。
そこでTRX50プラットフォームはどんな構造かを考えてみたい。まずチップセットだが、全部で92レーンのPCIeが出て、うち有効なのは88レーンである。このうちCPUからは今説明したように52レーンが出て、うち4レーンがチップセット接続用なので、チップセットから40レーンが出る計算になる。
40レーンというと、もうそろそろチップセットというよりはPCIeスイッチの範疇に含まれる製品であって、まさかと思うがWRX90チップセット+40ポートスイッチをTRX50チップセットと称しているのではなかろうか? という疑問が湧いてくる。
Ryzen Threadripper 7000 HEDTのパッケージ内の配線を見る限り、CPUから引き続きSATAポートも出るようだし、なによりRyzen Threadripper 7000 HEDTのためだけに新チップセットを作るとは考えにくいが、だからといって今のWRX90が最大40レーンものPCIeを出せるようになっているとも考えにくい。
CPUとチップセットの間にPCIeスイッチを挟むことで、最大レーン数を確保できるようにしていると考える方が素直に思える。チップセットのディジーチェーンはX670チップセットですでに実績があるわけで、あとはどこかのPCIeスイッチを使えば解決する。どこかというのは、ルネサス(旧IDT)やMarvell、Broadcomあたりになにかありそうである。台湾ASMediaの可能性も考えたが、ここはまだPCIe Gen3対応までで、最大でも24レーンなのでやや難しいだろう。
Ryzen Threadripper 7000 HEDTは
Registered DIMMのみ利用可能
Ryzen Threadripper 7000 HEDTのメモリーは4chのみとなっている。パッケージは同じsTR5で、本来は8ch分のメモリーのLANDは用意されているが、うち4ch分しか有効ではない格好だ。
これは製品の差別化やマザーボードの小型化(Ryzen Threadripper Pro 7000 WXシリーズと異なり、Extended ATXのみでは都合が悪い。せめてATXで収めたいところだろう)などを考えれば妥当な変更であるが、やや残念なのはUnbuffered DIMMのサポートがないことで、Registered DIMMのみ利用可能である。
デスクトップでRegistered DIMM、というのは2012年のAthlon 64 FXを思い出すが、理由も似たようなもので、Ryzen Threadripper 7000 HEDTのIoDに搭載されたメモリーコントローラーがRegistered DIMMのみのサポートになっているためと考えられる。この点だけは注意が必要だ。
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