第428回
ベンチで知る“第14世代”、Core i9-14900K/Core i7-14700K/Core i5-14600Kは何が変わった?
検証環境は?
では今回の検証環境を紹介しよう。第14世代の3モデルの性能を検証するために、第13世代から同格のモデル3つとCore i9-13900KS、ライバルであるRyzen 7000シリーズからX付きを4モデル(3D V-Cacheを搭載した3モデルは時間的制約から除外せざるを得なかった)。Secure BootやResizable BAR、メモリー整合性およびHDR等はすべて有効としている。
また、Power Limit関係の設定はBIOSのデフォルト、即ちインテルの場合は無制限設定で運用しているが、Core i9-14900Kのみパワーを絞ったパターンで検証している。具体的には第13世代発売後に出てきた「Power Delivery Profile」のうち、PL1/PL2を253W、ICCMax(Core Current Limit)を307Wに設定した「Performance Power Delivery Profile」を使用した。
インテルによれば電力制限なしに比べると性能は若干落ちるが、消費電力は下がるという。発熱と消費電力の大きさがインテル製CPUのネックではあるが、制限をかけた場合どう動くのかを見るとよいだろう。Performance Power Delivery Profileを使用したデータについては「Core i9-14900K(PPP)」としている。
検証環境 | |
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CPU | インテル「Core i9-14900K」 (24コア/32スレッド、最大6GHz)、 インテル「Core i7-14700K」 (20コア/28スレッド、最大5.6GHz)、 インテル「Core i5-14600K」 (14コア/20スレッド、最大5.3GHz)、 インテル「Core i9-13900KS」 (24コア/32スレッド、最大6GHz)、 インテル「Core i9-13900K」 (24コア/32スレッド、最大5.8GHz)、 インテル「Core i7-13700K」 (16コア/24スレッド、最大5.4GHz)、 インテル「Core i5-13600K」 (14コア/20スレッド、最大5.3GHz)、 |
CPUクーラー | ASUS「ROG RYUJIN II 360」 (簡易水冷、360mmラジエーター) |
マザーボード | ASUS「ROG MAXIMUS Z790 HERO」 (インテル Z790、ATX、BIOS 1402) |
メモリー | Micron「Crucial Pro CP2K16G56C46U5」 (16GB×2、DDR5-5600動作) |
ビデオカード | NVIDIA「GeForce RTX 4080 Founders Edition」 |
ストレージ | Micron「CT2000T700SSD3」 (2TB M.2 SSD、PCIe 5.0、システム用) Silicon Power「PCIe Gen3x4 P34A80 SP002TBP34A80M28」 (2TB M.2 SSD、PCIe 3.0、データドライブ用)×3 |
電源ユニット | Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」 (1000W、80 PLUS PLATINUM) |
OS | Microsoft「Windows 11 Pro」(22H2) |
検証環境 | |
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CPU | AMD「Ryzen 9 7950X」 (16コア/32スレッド、最大5.7GHz)、 AMD「Ryzen 9 7900X」 (12コア/24スレッド、最大5.6GHz)、 AMD「Ryzen 7 7700X」 (8コア/16スレッド、最大5.4GHz)、 AMD「Ryzen 7 7600X」 (6コア/12スレッド、最大5.3GHz) |
CPUクーラー | ASUS「ROG RYUJIN II 360」 (簡易水冷、360mmラジエーター) |
マザーボード | ASUS「ROG STRIX X670E-F Gaming Wifi」 (AMD X670E、BIOS 1602) |
メモリー | Micron「Crucial Pro CP2K16G56C46U5」 (16GB×2、DDR5-5200動作) |
ビデオカード | NVIDIA「GeForce RTX 4080 Founders Edition」 |
ストレージ | Micron「CT2000T700SSD3」 (2TB M.2 SSD、PCIe 5.0、システム用) Silicon Power「PCIe Gen3x4 P34A80 SP002TBP34A80M28」 (2TB M.2 SSD、PCIe 3.0、データドライブ用)×3 |
電源ユニット | Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」 (1000W、80 PLUS PLATINUM) |
OS | Microsoft「Windows 11 Pro」(22H2) |
最大6GHz同士でもスコアーが違う
では検証を始めよう。まずは定番「CINEBENCH」から最新の「CINEBEHCN 2024」で検証する。今期からGPUを利用したレンダリングテストが復活したが、今回はCPU検証ゆえCPUのみでレンダリングするテストのみを実行する。10分ウォーミングアップを含むテスト(デフォルト設定)で評価した。
マルチスレッドのトップ3はCore i9-13900KSを先頭にCore i9-13900KとCore i9-14900Kが僅差で続く。Core i9-14900KはCore i9-13900KSと最大ブーストクロックでは同じ6GHzだが、CPUを長時間高負荷のまま運用するテストだと性能が伸びない。
シングルスレッドのスコアーはCore i9-13900Kよりも高く、Core i9-13900KSとほぼ同レベルだが、Core i9-13900KSと並んだのはPerformance Power Delivery Profileを適用し電力制限をかけたCore i9-14900Kである点に注目(とはいえ、1ポイントなので差と言えるかどうかは怪しいが……)。
下位モデルに目を向けると、第13世代に比して第14世代はスコアーが伸びているが、特にCore i7-14700Kの伸び幅が非常に大きい点に注目したい。Core i9-14900K (PPP)には及ばないものの、Ryzen 9 7900Xを上回り、論理コア数で勝るRyzen 9 7950Xに肉迫している。性能が欲しいが論理コア数に特別なこだわりがないのであれば、今期はCore i7-14700Kが狙い目かもしれない。
続いては「UL Procyon」を利用し、「Photoshop」と「Lightroom Classic」を実際に動かした際のパフォーマンスを検証する“Photo Editing Benchmak”で性能を比較する。
インテル勢ではCINEBENCHでパッとしないCore i9-14900Kがここではトップに立っているものの、Core i9-13900KSとの差は誤差の範囲である。Power Delivery Profileを併用するとスコアーがCore i7-14700K並に下がってしまうが、それでもCore i9-13900Kより高い。むしろCore i7-14700KがCore i9-13900Kを食ってしまったと言うべきだろう。
最速はPコア(相当)を数多く揃えるRyzen 9 7950Xだが、8コアのRyzen 7 7700X等もCore i9-13900Kと肩を並べており、この分野でのRyzenの強さを再認識させられる。その強さの源泉は2番目のグラフにある通り、今のRyzenはImage Retouching、つまりPhotoshopのパフォーマンスが非常に良い。反面Batch Processing(Lightroom Classic)はこれまでの観測通りインテル系が強いという結果になっている。
UL Procyonにはクリエイティブ系以外のベンチマークも含まれているが、続いてはOffice 365を実際に動かす“Office Productivity Benchmark”も試してみよう。
ここでもCore i9-14900Kがトップだが、Core i9-13900KSとの差は誤差の範囲。両者はほぼ同じパフォーマンスと言って差し支えない。先のPhoto Editing Benchmarkと異なり、ここではPPP付きのCore i9-14900Kが電力無制限運用のCore i9-14900Kと大差ないポジションに付けている。
そしてCore i7-14700Kは微妙にCore i9-13900Kより下のポジションにいるものの、スコアー差は100ポイントもないため、これもまた甲乙付けがたい性能といえる。つまり、今回の第14世代ではCore i7が大幅強化されたのが最大の見どころといって差し支えないだろう。
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