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とぐろを巻いたLANケーブルにお別れを!

LANケーブルは自作できる!カットから圧着まで可能な"かしめ工具"「LAN-TL22」

2023年10月09日 18時00分更新

LANケーブル 自作 かしめ工具LAN-TL22

 PCを家庭内LANに接続する場合、今ではWi-Fiを使うことのほうが多いと思いますが、ゲームの遅延対策、通信速度の安定化を目的に、有線LANを使っているという人は少なくありません。

 また、PC以外の機器では有線LANを使うのが前提となっているものがあり、Wi-FiのアクセスポイントやNASなどはその好例。これ以外にも、ONUやVDSLモデムとルーターの接続などにも、有線LANが使われます。

"ちょうどいい長さ"のLANケーブルにめぐり逢えない問題

 こういった有線LANで接続する場合に悩むのが、LANケーブルの長さ。短いと届かないため、余裕を持った長さのLANケーブルを買いがちですが、この余った部分が床の上でとぐろを巻いてジャマになっている……というのはよく見る光景です。

LANケーブル 自作 かしめ工具LAN-TL22

長いケーブルは、床の上でジャマになることも

 また、すぐ横に置いてある機器と接続するだけなのに、1mのLANケーブルを使っているというのもありがち。1mはLANケーブルとしては短めですが、隣同士で使うには長すぎます。

 こういった「ちょうどいい長さのLANケーブルがない」問題を解決する方法のひとつが、自分でLANケーブルを作ってしまうことです。専用工具やコネクターは必要になりますが、ピッタリの長さのLANケーブルを作れるため、長すぎる、もしくは、短すぎて届かないといった問題が起こりません。

 ということで、このLANケーブルを作る工具となるサンワサプライの「LAN-TL22」(実売価格1万1990円)を借りて、実際にケーブルを作ってみました。

LANケーブル 自作 かしめ工具LAN-TL22

LANコネクターを圧着する工具の「LAN-TL22」

工具の機能をひと通りチェック

 必要となるのは、工具のLAN-TL22、消耗品のRJ-45コネクター、ケーブルをほぐすのに使うスパイキ、ニッパーなど。スパイキは目打ち、ニッパーは汎用工具で代用できるので、最低限、LAN-TL22とコネクターさえあればOKです。もちろん、別途LANケーブルは必要ですけどね。

LANケーブル 自作 かしめ工具LAN-TL22

LAN-TL22、コネクター、スパイキ、ニッパーが必要最低限のツール

 ちなみに、自作用のLANケーブルとして100mといった単位のプロ向け製品が売られていますが、こういった製品を購入する必要はありません。単純に、長すぎるLANケーブルの片端を詰めるだけでいいからです。

 ただし、薄く加工されたフラットタイプのLANケーブルは被覆をむくのが難しく、コネクターを付けられないことが多いので注意。あくまで丸い、一般的な形状のものが対象です。

LANケーブル 自作 かしめ工具LAN-TL22

フラットタイプは、自作に不向き

 LAN-TL22でできるのは、LANケーブルのカット、LANケーブルの被覆むき、コネクターの圧着、余分な芯線のカット、被覆への圧着。ほとんどの作業がこの工具1つで可能です。

LANケーブル 自作 かしめ工具LAN-TL22

刃が見えるところでカット。被覆むきは、内側の丸いエリア

 ただし、被覆むきは力加減を間違えると、中の芯線まで傷つけてしまうので注意。専用の工具があるので、そちらを使う方が安全です。

LANケーブル 自作 かしめ工具LAN-TL22

直径3.5〜9mmのLANケーブルに対応するサンワサプライの「外皮むき工具 LAN-TL9」(実売価格2310円)

 コネクターの圧着は、先端にある挿し込み口にコネクターをセットし、ハンドルを握るだけと簡単。もちろん、先にコネクターへ芯線を通しておく必要があります。

コネクターを挿し込み、握るだけでOK

 使用するコネクターが貫通型の場合、コネクターから飛び出た芯線も一緒にカットされます。事前に芯線の長さを調整する必要がなく、手間が省けるのがメリット。

 工具の裏側から見ると、このカット用に鋭い刃が付いているのがわかります。

この刃で、余分な芯線を切り落としてくれます

 最後の被覆への圧着はLANケーブルの抜け止めで、コネクターとLANケーブルの固定に金具が使われているときに使うもの。PoEケーブル用のコネクターで採用されていることが多いようです。

被覆への圧着に金具が使われているコネクターの例

最もハンドルに近い部分にあるのが、被覆への圧着用

 ちなみによくあるのは、コネクターの逆端を押し潰すようにして固定するタイプ。LAN-TL22では、コネクターの圧着と同時に押し潰せるので、ここも手間いらずになります。

上が潰す前で、下が潰したあと。抜け止めになります

実際にLANケーブルを作ってみた!

 使い方が分かったところで、LANケーブルを作ってみましょう。まずはLANケーブルをカットして、好みの長さにします。

 長さはメジャーなどで測るより、実際にLANケーブルを引き回して、現状に合わせてカットするほうがピッタリになります。ギリギリにすると機器を動かす余地がなくなるので、5〜10%くらいは余裕を見たほうがいいでしょう。

 続いて被覆むき。今回は専用工具のLAN-TL9を使いました。使い方は簡単で、挟んでからぐるっと1回転させるだけ。ただし、慣れは必要なので、ケーブルの切れ端を使って刃の深さの調整、使い方の練習をしましょう。

 むく位置は、大体40〜50mmくらい。

挟んでから、指をかけて矢印方向にぐるっと回せばOK

 被覆がむけたら、スパイキを使って芯線をほぐして真っすぐにします。このとき、ケーブルの折れや潰れなどを防ぐフィラーが入っていた場合は切り取っておきます。

中心にあるのがフィラー。これを切り取り、芯線をほぐします

指とスパイキを使って、ヨレを取ります

 指で挟むようにして、芯線の並びを揃えます。並び順は2つの規格があるので、どちらになっているのか確認。簡単で確実なのは、切り落としたコネクター、もしくは逆側のコネクターを見ながら並びを合わせることです。

 先端が不揃いになっているので、ここで揃えるようにカット。芯線が短くなり過ぎなければ、長さは気にする必要ありません。

 芯線を平らに並ぶよう持ったまま、コネクターをかぶせて押し込むと、スッと先まで通り抜けるはず。うまく通らないときは、芯線が真っすぐか、横一列に並んでいるかを確認してください。あと少しというときは、コネクターを左右に軽く振る感じに押し込むと、通しやすいです。

横一列にキレイに並べておくのがコツ

 ここから更に奥へ押し込み、被覆のある部分が半分くらい入ればOK。最後にLAN-TL22を使って圧着すれば、ケーブルの完成です。この時に余分な芯線が切り落とされ、被覆への圧着も同時にできるので、コネクター周りの作業はこれ1回でおしまいです。

圧着と同時に芯線もカットされます

 なお、モジュラーカバーを使う場合は、圧着する前に通しておきましょう。

カバーは大抵、コネクターと別売です(10個入り実売価格500円前後)

余計なLANケーブルがなくなりスッキリ!

 LANケーブルの長さは地味に頭を悩ます問題で、何度も測って「5mあれば大丈夫。ピッタリだ!」と思って購入しても、実際は、あと30cm足りなかった……みたいなことが起こりがち。かといって、次に長いのを買おうとすれば10mだったりで、今度は余りまくります。

 こんな時でもLAN-TL22があれば、ピッタリの長さのLANケーブルを自作可能。さらに、端材を使って超短いLANケーブルまで作れます。

 数回しか使わないだろうものを購入するかどうかは微妙なところですが、LANケーブルがジャマだと家族から文句を言われているなら、手に入れる価値はあるのではないでしょうか。親戚、友人達に貸し出してもいいですしね。

 ちなみに、結線を間違えると最悪機器が壊れてしまう場合もあるので、そこは注意。LANケーブルテスターも合わせて入手しておけば、結線ミスがすぐにわかるのでオススメです。

断線や結線ミスがチェックできる「LAN-TST6」(実売価格3350円)

●お気に入りポイント●

・必要な機能のほとんどが1つに

・芯線のカットまで1回で終わる

・被覆への圧着も同時に可能

この記事を書いた人──宮里圭介

 PC系全般を扱うフリーランスライター。リムーバブルメディアの収集に凝っている。工作が好きだが、最近あまり時間が取れないのが悩み。

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