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小野測器は評価環境の構築に貢献

千葉県・柏の葉スマートシティ、日本初「公道における走行中給電実証実験」開始

2023年10月03日 19時15分更新

 小野測器は、東京大学大学院新領域創成科学研究科の藤本・清水研究室、ブリヂストン、日本精工、ローム、東洋電機製造、デンソー、三井不動産、SWCC、カーメイト、千葉大学宮城研究室の共同研究グループ(以下、本研究グループ)とともに、2018年より走行中給電システムの研究を実施してきた。

 今回、本研究グループは、柏の葉スマートシティ内にて、日本初の「公道における走行中給電実証実験」を開始。この実証実験は、東京大学、柏市、その他関係機関と「柏ITS推進協議会」の枠組みによる「電気自動車への走行中給電技術開発の取り組み」で実施される。

出発式の模様
(写真左から)
大崎博之専攻長/東京大学大学院新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻
藤本博志教授/東京大学大学院新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻
太田和美市長/柏市
藤井和久所長/国土交通省関東地方整備局千葉国道事務所

走行中給電公道実証実験車、ハイエースとRAV4
車底に受電コイルが設置されている

本実験4つのポイント

様々な車両に使える走行中給電システム

 様々な車両のあらゆる状態に対応するためには適切に電力をコントロールすることが必要となる。本研究グループでは、電力を適切にコントロールすることで電気自動車にもプラグインハイブリッド車にも使用できる走行中給電システムを実現。

標準化につながる走行中給電システム

 送電コイルに常に通電をすると、送電コイルの上に車両がないときには無駄なエネルギーを使うことになる。この課題を解決するために本研究グループでは、待機電力を極力小さくしながら車両検知を短時間で行い、新しい車両検知システムを開発している。このシステムを公道で検証することにより、走行中給電システムの標準化に貢献する。

高耐久性プレキャストコイル

 安全に使用するためには路面として十分な耐久性を持ちながら、送電が可能なコイルの開発が必要。本研究グループでは、コイルと路面を一体化したプレキャストコイルが公道実証実験に耐えうる耐久性の検証している。

小野測器は「RC-S実車トランジェントベンチ」を提供・導入

 小野測器の「RC-S実車トランジェントベンチ」を提供し坂路再現や走行空間を再現。前後輪ステアの評価環境などの構築に貢献している。

日本初の公道実証(柏市)

実証実験車両

 柏の葉キャンパス駅を中心とした地域では、公・民・学連携により「柏の葉国際キャンパスタウン構想」に基づく先進的なまちづくりが進められている。スマートシティを目指した様々な取り組みも実施されており、2019年には「国土交通省スマートシティモデル事業(先行モデルプロジェクト)」の選定を受けて「スマートシティ実行計画」を策定し、新技術や官民データを活用しつつ、都市・地域課題の解消に取り組んでいる。

 その一環として、6月には、柏市、東京大学、その他関係機関と「柏ITS推進協議会」(※1)の枠組みで実施している、電気自動車への走行中給電技術の実証実験の取り組みが、国土交通省が公募する「道路に関する新たな取り組みの現地実証実験(社会実験)」として採択され(※2)、10月から2025年3月まで、柏の葉キャンパス駅西口至近の市道にて日本初の公道上における電気自動車への走行中給電技術の実証および社会的受容性の確認を実施する予定となっている。

 本社会実験により、道路政策ビジョン「2040年、道路の景色が変わる」(※3)にも掲げられた、低炭素道路交通システムの実現による地球温暖化の進行抑制に向けた大きな貢献が果たせるものと考えられる。

※1:柏ITS推進協議会
http://www.kashiwa-its.jp/
※2:柏市「公道における走行中給電技術実証の取り組みが国土交通省の社会実験として採択された」(2023年6月30日発表)
https://www.city.kashiwa.lg.jp/koho/pressrelease/r5houdou/6gatsu/r5063001.html
※3:国土交通省「2040年、道路の景色が変わる」
https://www.mlit.go.jp/road/vision/01.html

走行中給電システムの研究・開発(東京大学)

 東京大学大学院新領域創成科学研究科の藤本博志教授、清水修准教授らの研究グループ(以下、東大グループ)では2017年にJST未来社会創造事業において「電気自動車への直接給電が拓く未来社会」として採択され、走行中給電システムの研究開発を進めてきた。

 本実証実験には、本研究グループが研究・開発したシステムや技術を導入。本実証実験は公道で行うため、走行中給電システムを搭載した上で、ナンバー取得をした車両で実験する。

 本実証実験で使用する送電コイルは東大グループが設計し、10秒充電することで一般的な電気自動車が1km走行することが可能となる仕様。

 今後の展望は、2025年3月まで公道での実証実験を継続する予定となり、本実証実験の結果を反映し、さらに発展させた走行中給電システムの開発を推進し、走行中給電社会実装の早期実現を目指すという。

小野測器について

1954年創業。電子計測機器の製造、販売ならびに各種エンジニアリングサービス事業を展開。創業同年には、国内初となるジェットエンジンの回転数を計測する回転計を開発。自動車産業では二輪・四輪車、自動車部品、その他建設機械、食品や医療検査等、幅広い分野において研究開発のサポートから製造工程での測定技術を提供。自動車メーカーHondaの第二期(1983〜1992)F1レース活動において、V6ターボエンジンのベンチ試験用の操作システムを特注制作するなど、同社の優勝に技術面でサポート。その他、近年では電動車両(EV)開発支援など、カーボンニュートラル社会実現のために新たなビジネス領域へ参入している。

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