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「ブッダ」「菩薩」「高僧」ボットが揃い踏み

GPT-4が「仏教聖典を機械学習」 悩める人々に宗教的観点で回答

2023年09月14日 16時30分更新

 京都大学とテラバースからなる研究開発グループは9月12日、OpenAIの大規模言語モデル「GPT-4」を利用し、仏教の聖人「親鸞」および「世親(せしん)」と対話できるAIチャットボット「親鸞ボット」および「世親ボット」を共同開発した。

「ブッダ」「菩薩」「高僧」ボットが揃い踏み

 親鸞(12~13世紀)は、日本最大の仏教宗派である浄土真宗の開祖、世親(4世紀)は、大乗仏教の二大哲学の一つである「唯識」を大成した菩薩として知られる。

 両ボットは、GPT-4に経典や著作のテキストデータなどを使って追加学習を施して開発された、人々の様々な悩みに宗教的観点から回答してくれる仏教対話AIという位置付けだ。

 同グループは2021年3月にグーグルの「Sentence BERT」を応用したチャットボット「ブッダボット」を、2023年7月にはGPT-4を応用した「ブッダボットプラス」を発表している。

 これにより、仏教の教えを生み出した「ブッダ」、その教えをさらに哲学的に分析した「菩薩(世親)」、そして、教えをアジア各地で伝えた「高僧(親鸞)」という、仏教の主要な伝道者をモデルにしたチャットボットが揃ったことになる。

回答はモデルによって異なる

各ボットの質問・回答一覧

 これら3つのボットに同じ相談をしてみたところ、「スッタニパータ」などの初期経典を学習させたブッダボットは平易な仏教的回答を、「正信偈」を機械学習させた親鸞ボットは浄土信仰的な回答を、「倶舎論」を学習させた世親ボットは仏教哲学的な回答が目立つようになった。

左から「ブッダAR」「親鸞AR」「世親AR」

 さらに、AR(拡張現実)技術を応用し、資格や聴覚を用いたマルチモーダルなコミュニケーションも可能になったという。

 同グループは今後さらに、人類史を代表する哲人や聖者たちの対話AIを順次開発し、デジタル空間上に豊かな伝統知を再現していく予定だ。

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