アップルが本社Apple Parkで開催したスペシャルイベントで、2023年モデルの新しいApple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2を発表しました。基調講演の終了後に実施されたハンズオンイベントで、新しいApple Watchを体験しました。
Series 9とUltra 2には、ともにウェアラブル向けのAppleシリコン「S9 SiP(システム・イン・パッケージ)」が搭載されました。パフォーマンスが大きく向上したことで、「Hey Siri」による音声操作に対してウォッチがより速く応答できるようになったり、いくつかの新しい体験が追加されています。
そのひとつが、ユーザーがウォッチに触れることなく、片手の指による「ダブルタップ」のジェスチャー操作です。2本の指をたたく操作をApple Watchに内蔵する加速度センサー、ジャイロスコープ、光学式心拍センサーが検知。精度が向上したS9 SiPのNeural Engineが、機械学習アルゴリズムによってタップ操作を解析して、Apple Watchの基本操作に変換します。例えば通話の受話・終話、タイマーの停止、カメラリモート、watchOS 10に新しく追加されるスマートスタックの起動と送り操作などが、ダブルタップに対応します。片手が塞がっている時や、ウォッチを装着してベッドでリラックスしている時に、とても便利な新しいユーザーインターフェースです。ダブルタップは新しいApple Watchの発売後、ソフトウェアアップデートを経て10月頃から利用できるようになります。
ディスプレーの最大輝度がSeries S9は最大2000ニト、Ultra 2は3000ニトまで高くなったことで、屋外環境でもディスプレーのさらなる視認性向上が実感できます。反対に暗い部屋にいる時などには、画面の明るさが1ニトまで下げられます。
Ultra 2には新しい文字盤「モジュラーUltra」が追加されます。秒数、高度、深度などのリアルタイムのデータが画面の外周部分に表示できたり、たくさんのコンプリケーションが配置できる文字盤として魅力的です。
S9 SiPには第2世代の超広帯域無線(UWB)チップが搭載され、ウォッチにペアリングしたiPhone 15シリーズを「探す」際の精度が高くなります。ただしこのUWBを使う機能は北米以外に利用できる地域が限られており、日本ではすぐに使えないようです。
ほかにもUWBに関わるところでは、オーディオを再生中のHomePodの4メートル以内にApple Watchユーザーが近づくと、Series 9とUltra 2はHomePodで再生中のメディアがコントロールできるようになります。
新しいApple Watchは、アップルが2030年を目標に押し進める製品すべてのカーボンニュートラル化戦略の中で、いち早く実現した「Apple初のカーボンニュートラル製品」になりました。製造時と輸送時の温室効果ガス削減や、製品のパッケージを100パーセント繊維ベースに再設計したり、複合的な取り組みにより目標を達成しています。Series 9はスポーツループとスポーツバンド、Ultra 2はトレイルループとアルパインループによる組み合わせがカーボンニュートラル製品です。
Series 9には、Apple Watchとして初めてのカラバリとなるピンクのアルミニウムケースが加わります。Ultra 2の外観上のデザインは変わっていません。
筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。
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